フットボール選手として今の自分より高いレベルで活躍や成功をしたければ、フットボールのテクニカルな練習やセットプレーの練習以外に、ウエートトレーニングや持久力向上鍛錬、スピード向上鍛錬などの地味でキツい努力(これらの総称でフットボール用ストレングスと呼びます)が欠かせないのは僕だけの持論ではなくコンタクトスポーツ業界では常識です。ふた昔ほど前は骨のスグ上が皮膚というガリガリな選手でもテレビで放映されるようなボウルゲームに登場していましたが、現在ではよほどの特殊能力がない限りある程度の筋肉量を持っていることが求められます。
国内リーグで意識が高くしっかり体づくりをしているのは社会人の選手で、逆に学生さんは力も弱く筋肉量もまだまだの人が大部分です。これは僕の所属する早稲田大学ビッグベアーズだけのことではなく、リーグを見ていてそのように感じています。
学生さんがどうして脆弱な体躯なのか?の原因を調査してみると、結局のところ鍛える時間を確保しておらず、本当に必要だと感じていないからでした。トレーニングのことや栄養のことに関心も知識もなく、なんとなく誰かのマネをしているようなしていないような。こうなってしまっている原因は大部分の学生さんらの関心事が「作戦」に向いてしまっている為です。これは真のフットボールをご存知の指導者らは昔からずっと同じ問題を抱えているはずです。
また、大抵の組織では筋肉の大きな選手はあまりインテリジェンスが高くなかったり、テクニック的なレベルが低かったりで、マッチョマンが一概に尊敬の対象ではない事があげられると思います。
フットボールは外から見ていると激しく危険なスポーツっぽいのですが、実はそれは試合の日だけであって、通常のチームでは練習時にはそれほど強度の高い激突シーンを見ることはありません。それよりも緻密な「作戦」をしっかりと遂行出来ているかどうかにエネルギーのほとんどが注がれます。そしてそれが皆んな大好きなのです。そんな時に、間違ったりミスをするのが決まって「マッチョマン」だったりするのですね。
我々指導する側も「少数派のミスするマッチョマン」より「大勢のミスしないガリガリ」を高く評価せざるを得なくなり、組織としての体力レベルは「ガリガリ」が平均値となり少々のガリガリでも特に問題視されずそのまま試合に登場します。
近年はフィットネスブームですのでご存知の方も多いかもしれませんが、筋肉をほんの1kg増やすためにしなければならない努力の量は尋常ではありません。日常的にフットボールの練習をしていると体重がみるみる減っていく現代の学生アスリートにとって、筋肉量アップは組織ぐるみ家族ぐるみでやるしか道はありません。個人でちょっとプロテインやサプリメントを採っていても全く足りません。数時間おきにタンパク質や栄養を大量に摂取し、気絶してしまうような高強度のトレーニングを毎日毎日繰り返したうえ、心肺機能と持久力も向上させておかなければ消耗の激しい試合終盤に体が言うことを聞いてくれなくなります。フットボール選手は本当に大変です。
大量の食事を摂取し、激しいトレーニングを実行できる人の割合がチーム内で2割3割と増えてくればシメたものですが、残念ながらどんなにチーム内でキャンペーンを打っても、くじけてしまう人が殆どでしょう。地味な鍛錬というものはとにかく辛くて大変ですからね。
ではその場合はどうすべきか?筋肉を分厚くするのはしんどいから嫌だ。ご飯は適量で結構です。そんなたくさん食べたくない。太ったら女の子にモテなくなるからイヤだ、という人や組織は、体を細くしてスピードと持久力で勝負する手もあるでしょう。米国プロフットボールNFLや大学NCAAではそんな甘い話は通用しませんが、日本学生リーグならそれでもいけるかもしれません。関東なら尚更容易いでしょう。
サッカー選手のように試合の最後までフルスピードで走って走って走りまくれるようになれるほどのいわゆる「走りモンのトレーニング」を日本で一番のクオリティで日本で一番多くの量をやってみるのも良いかもしれません。
最後の最後まで全然疲れず走りまくるチームを目指して、毎日倒れるほどの量を走りまくるのは大変だと思います。中には体重が100キロ120キロを超える大柄な選手も居ますのでとても大変(僕も選手時代は90kg~110kgくらいでしたので気持ちはわかります)だと思います。
リーグで1番の力持ちになりたいのか、1番の俊足になりたいのか、1番のテクニシャンになりたいのか、1番の持久力を手にしたいのか、どれかに決めてしんどい道を進むのは自分ですし、結果を受け入れるのも自分です。年が暮れる頃に笑っているのか、努力不足を後悔しているのか、ハッキリしてしまいます。
僕が高校生の頃に見た甲子園ボウルの試合直前TVインタビューで「これ以上の努力は無理なほどに練習してきた」と吐き捨てた日大フェニックスのQB佐藤氏の言葉は今も僕の心に深く突き刺さっています。
今は春休みですし、学生アスリートが徹底的に鍛えるには最適の期間です。中国ウイルス問題で春の交流戦もどうなるかわかりませんし、未来の自分に誇れるような時間を過ごしてもらいたいものです。がんばれ若者たち!
