多聞コラム5feb2020_vol,243 CFLコンバイン 後半

CFLコンバイン 後半

そして話を戻しまして、受験者側の問題です。日本代表や海外プロのテストを受けようとする人達ですから、フットボールの巧さや実績はどなたも申し分無いと思います。ただ、この体力テストの重みをを侮っていましたね。11月にシーズンが終わったチーム員の選手らは丸2ヶ月あった訳ですし、この間にテストの攻略をしていない人が多すぎます。しっかり練習してきている人と天才的に器用な人以外は軒並み成績が良くありませんでした。

全ての種目に攻略法があり、NFLコンバインを受ける米国人らは9割以上の人がこの攻略をしようと、とてつもない量の練習をしてきています。それ専門のアカデミーなども存在しますし、至極当然の努力方法でしょう。

映像をひと目見ればその人がどれだけ努力してきたかわかるというのは前回お話ししました。この僕でもわかるのですからプロのアメリカ人(カナダ人?)試験官なら当然気がつくでしょう。彼らも真剣に仕事をしにきています。しっかり努力してきていない人を自国へ招待するはずありません。

日本の試合で、日本人や本国じゃプロになれないレベルのアメリカ人相手に結果を出しているかどうかなど彼らにとって無関係に等しいのです。アメリカ人(カナダ人?)相手にどれだけやれるか?やれそうか?が重要なのです。この理論はこのコラムでも過去に何度か書いていますし、アメリカ人(カナダ人?)から見た日本人選手などよほどの特徴が無ければ誰でも同じなのです。

後半のテストでは防具を纏ってポジション毎のスキルテストです。ここでもビックリの光景が見られました。NFLのスーパースターが試合前や練習時によくやるユニフォームを胸元まで上げたままスタイル。あれは誰が見ても「〇〇選手がこんなところに居る!!サインもらおう!」となるほどのスターだから成り立つ格好です。

試験を受けに来た人がなぜユニフォームを着て来いと言われてるのか、考えもしないのかな?番号と所属チームがサクッとわからないと、走り方やシルエットだけじゃ誰か判別しづらいからですよ!それなのに自分が大スター気取りなのか、番号が見えないようにユニフォームをクルクルっと上げてしまって、結果誰かわかんない。そもそも大した動きでも無いから誰だろうとまあ良いか。と失笑されていましたね。

で話を戻しまして、大まかにはNFLコンバインと同じような内容です。「ような」とつくのは40ヤード走と同様に、テストの意図や困難さを理解しない人らがアメリカ人(カナダ人?)採点員から指示されたコースを用意してフワーッとやるので、似てはいるけど微妙に違うのです。ここは日本ですから使用できる用具も限られており、そこは仕方ありません。

そしてその課題の意図を特に気にせずに訓練もしてきていない受験者が思い思いの自己流でトライしますから、アメリカ人(カナダ人?)試験官らはロクに見ていません。審査する対象としていないのですね。「いやいやいやいや!そんなんちゃうねん!」となってしまいます。

それぞれのテストで、アメリカ人(カナダ人?)から何を見られているのか?を考えて用意して来ている人が少ないのは体力テストと同様でした。皆さん自然に持っているチカラを発揮すればそれで良いと思ったのでしょう。

また、自分のドリルを数秒間披露し、元の隊列に戻るまでをちゃんと走って戻る確率が高いのは強いチーム所属の人。弱いチーム選手はダラダラと話しながらだったり歩いて戻っています。「フットボールの練習はドリルをフィニッシュしてから戻るところまでが大切だ!」という事を教育されていないわけです。弱いチームじゃ上手くなるための時間が多く必要ですので、練習ではそれどころじゃ無いのでしょう。強いチームはそんな余分な所にまで気を配り、しっかり仕事するような規律(discipline)があるわけです。

コレは僕が実際に所属したあらゆる地域、レベル、年度によって強いと弱いがありましたが、そのようなルール化するには種類が多すぎるなんだか良く分からない「規律(discipline)」がキッチリ自然に遂行出来る人が多く居た場合、良い結果を残せています。コレはハッキリしています。

彼らは名だたる日本のトップ選手ですから、フットボール中にアドバイスを受けたり指導されたりの経験も殆ど無い(ガツンと言えるコーチが居ない)でしょうし、自チームの試合では「成功すりゃ何でも良い」わけです。しかしアメリカ人(カナダ人?)にアピールするテストでは少し勝手が違います。

タイムや距離など数値化される体力測定は記録だけを見るのですが、この場合でも走って戻る事は受験者の義務と言えます。測定中、少しくらい動きが奇抜でも結果さえ良ければ無関係ですが、スキルテストは全てフィギュアスケートや体操競技のような「採点競技」なのでどこでマイナス点が付くか知っておかなければ損します。

速さは「スピード感」、強さは「力強さ」、という尺度のよくわからない単位に変換され、上手さは「基礎基本」の部分をチェックされるのです。フットボール全てのポジションで全ての動きに「基礎基本」の設定があります。つまり決まっているのです。

じゃあその本買うわ。なのですが、コレ残念ながらありません。日本で言う「ワビサビ・ミヤビ・空気読む・渋い」などに決まりが無いのと似ています。長年日本に住んで母国語であればこそ理解し得る微妙で複雑な感覚なのに、みんなの当たり前な共通認識でもあります。「フットボールの基礎基本」も長きに渡って米国に根付いた無限の奥行きがある共通認識事項なのです。

ボールキャッチをするにしても、シチュエーション毎に基礎事項も変わります。この場合ならこう。あの場合ならコレ。といった風に変化するのです。用意されているテストは前述したようにNFLコンバインと同じ内容の場合が殆どです。試験官側は正解を持っていますので、間違った回答(捕り方)をしたらスグにバレます。そして名簿の横に「バツ」が付き二度とチャンスは訪れません。飲食店の従業員に、不潔でぶっきらぼうな人を雇用しないのと同じです。応募してきても相手にすらされません。

日本人でこだわりのキャッチ方法を厳しく体に注入されている選手はこの40年間でほんの数人です。しかし日本のリーグで活躍しているレシーバーはほんの数人ではなく何百人と居ますので、ほとんどの有名選手が自己流で結果重視のスタイルだと言うことです。でも本来それで良いのです。捕るのが仕事だし、捕っているのだから良いのです。ただ、アメリカ人(カナダ人?)に認められようとするなら、彼らの求めている事を勉強して脳と体に注入しなければなりません。

今回のトライアウトでの体力テスト結果の数値は僕が受験していた20年ほど前からさほど伸びていません。それに引き替えNFLでは記録が毎年少しずつ伸び続けています。他競技なら100mを9秒台で走ったり、ベンチプレス 300キロを挙上する日本人も存在するのですから、人種など言い訳でしかありません。

アメリカ人(カナダ人?)たちが大切に考えている事を理解していて努力を惜しまない。日本での順位は総合1位。そこを目指して「正しい方法」で頑張っていればいつかチャンスは巡ってきます。

日本のフットボール選手たち、作戦やチームワークのことばかりに関心を持たないで、もっともっと個人の能力にこだわりましょうよ。限界の限界まで個人能力を上げましょうよ。皆さんようなのセンスや経験があればもっと凄い選手になれると思うんです。テストの最後に日本代表の藤田監督が全員にこのようなことを仰いました。「ここにいる日本トップの皆さんが上に行かないと日本のレベルが上がらないんですよ」と。

「お前らがシャキッとせえへんかったらいつまで経ってもアメリカ人に舐められたマンマやねん。もっとガムシャラに思いっきりやらんかい!!」と聞こえたのは僕だけでは無かったはずです。

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