1999年3月28日
今日は辻、堀口選手の所属する「スコティッシュクレイモアーズ」とのスクリメージデイ。昨日と同様に強気でゴリゴリ突っ走る気概ですが、相変わらず大した活躍もなく至って普通の結果でした。派手なゲインも無ければビッグヒットのプロテクションも無く、かと言ってミスもなく無難な結果でした。ですからここに書く記す必要すら無いかもしれません。ので話題を少し変えます。
日本でプレーしている時と違う点。これは現在指導している選手らも関心が深いですし、ファンの方からもしばしば聞かれることなので簡単にここでご紹介しておきます。
今回はオフェンスラインの事について僕の感じていた事を。とにかく彼らはサイズが大きいですから、5名から7名が横に並んだ時、隅から隅までの幅が広いです。BOXの幅が広い。なんて専門用語では言います。188センチ130キロ平均ですので現代の日本人選手と比較しても随分大きいですもんね。両手を広げた「両手間隔」程度で並びますので、両手幅のリーチがモロに出ます。
アメリカ人プロのオフェンスラインらは、体は大きく重いけれどもしっかりとした機動力を持っています。敏しょう性に長けておりバランスなどを含んだ運動神経全体も明らかに「プロの運動選手」という印象です。
ですからプレーが始まった瞬間から1秒2秒の間に移動できる速さと距離が日本とは全然違います。なおかつ正確に動ける上に、力強く敵と勝負しに行くので「ライン戦」はとても迫力があり価値の高いものとなっています。
その5名から7名ほど並ぶ大きな壁が一瞬にして前方は当然ながら右や左へ飛び出すのですから、少し後ろに立って準備している俊足自慢のランニングバック陣も全力全速力走行が可能になるのです。うっかりしていては置いてけぼりを食らうほどの速度です。
また、彼らは作戦ミスというものが殆どありません。試合で敵と対戦しますから勝ち負けは当然あるのですが、役割を誤るという事故は僕の記憶には残っていません。練習前にフィールドに立ってコーチと一緒に作戦の確認をすることがよくあるのですが(ウォークスルーと呼びます)その際に殆どの問題がコーチによって解決させられます。作戦を間違って記憶していたり解釈していた人もここで完全に理解を深め、実戦練習ではしっかりと試合をイメージした動きに変換したところまでを担当コーチが確認します。
これが「作戦をインストールする」の本来の形なのでしょう。あとはゲームで思いっきり相手をぶっ倒してこい!となります。とても格闘技っぽいですね。
ただ、僕はプロリーグしか見ていないので、NCAAなど大学チームではここからどの程度割り引いた甘さがあるのか不明です。テレビのドキュメンタリーなどで見る分にはかなり日本に近いのかなと思うので、痛がりに下手くそ、そしてヘタレが一切存在しないプロの世界は全然厳しさが違うのかなと感じます。
で、その厳しいプロのスクリメージで地味に仕事を終えはしましたが、2日連続対外スクリメージということで練習時間が「ラク」なのです。例のスネイタも練習が軽いと悪化しません。スリープファニーも完治しているようです。
なんて言ってますが、もっともっと目と体をプロのフットボールに慣らして3日後の「バルセロナドラゴンズ」との対戦に備えねばなりません。
1999年3月29日
午前の練習を終えてホテルの戻ると知った顔のアジア人が真っ赤なホンダのオープンカーの横に立っていました。その横にはまたまた知った顔のアメリカ人。アサヒ飲料チャレンジャーズのヘッドコーチ藤田さんと、特別コーチのトムプラットさんです。トムプラットさんはフロリダ在住なので、ここオーランドに近いのかどうか未確認ですがわざわざ会いに来てくださったのです。
トムプラットとは:第1回スーパーボウルにコーチとして勝利し、第50回にも出場しそうになり米国でもとても話題になった偉大なコーチ。アサヒ飲料優勝時に藤田ヘッドコーチのそのまた師匠のような方で、酔っ払うとギャグ連発するデッカい普通のジイさん。
「おー頑張ってるかー?!」「いやーキツいっす!」なんて簡単な挨拶だけでしたが知人の大物コーチ2人に激励して頂くとスネイタ言うてる場合では無くなります。
さていよいよフロリダ合宿も終盤になりました。もうすぐドイツに移動です。合宿でやり残しが無いように、毎日の練習の為にしっかり準備する僕でした。
