みなさま新年でございますね。昨年はお世話になりました。本年も宜しくお願いします。年明け早々アメリカンフットボール界のニュースと言えばやはり日本一決定戦であるライスボウルでしょう。学生ナンバーワンと社会人ナンバーワンが対決し、近年は社会人が10連勝しています。今年は日本選手権となってからの36年目で第3位の35点差となり「シラけた」などと言われる優勝決定戦となりました。
今から30年近く前、1989年のライスボウルは6年連続出場のレナウンローバーズが4年ぶりに復活した日大フェニックスと対戦し、大会史上最高得点差を付けて日本大学が圧倒的勝利。日本大学はそこから学生では最初で最後のライスボウル3連覇を達成しました。
僕はその時ちょうど大学4年生。今じゃノジマ相模原ライズで一緒のQB須永率いる最強チームを羨望の思いを持ってテレビで見ていました。当時はバブルの影響で社会人チームが乱立。しっかり練習すると言うよりも学生時代に働きがよかった選手を集めて2、3年軽く楽しむといったレベルでしたから、あれほどまでに強力だった日本大学には敵いませんでした。
その頃はもちろんSNSなどありませんから「腑抜けた社会人と命がけの学生が日本選手権で戦うなどナンセンスだ」なんて言う奴が居たとしても誰の耳にも届きませんでした。
その次の4年間は社会人側の4連勝でしたが全て僅差の試合。「アメリカンフットボール」はドラマチックでエキサイティングなスポーツと印象付けるには大きな役割を果たしました。正月3日、他に大きなスポーツが無い特別な日にとりあえずテレビを付ければ国営放送が手練れのアナウンサーを擁し、わかりやすく楽しめる工夫に満ちた放送をしているのを見ることができました。
ただ、日本大学が3連勝したのちの10年間は社会人が9勝しています。39点差の試合が2度。この辺りで時代は「社会人圧倒的優位」となってきました。僕が出場し勝利した時がこの39点差です。試合終盤の4Qにチーム員全員が出場し思い出を作りました。その時すでに50点差がついており、39点差まで追い上げられたので実際にそのまま手を緩めず戦い続けたらどんな事になったかわかりません。それは今年の試合でも4Qからは1軍以外の選手らが出場していた富士通も同様ですね。
社会人優位になった(と言われる)1992年から今年までの平均点差はたったの11点です。社会人の23勝5敗。1タッチダウン差で社会人が辛勝しているのが7度。これがほんの少し違っていて社会人が負けていれば16勝12敗となり、それほどメチャクチャな数字ではなくなります。
アメリカ人選手が居るから、社会人の方が大きいから、経験が豊か、とまあ社会人有利と考える理由は色々ありますよね。でもね、強豪大学の選手は入学した時から最終的な敵はそんな社会人チームだと分かりきっていたはずです。
例えば僕の所属する早稲田大学ですと、生活費や学費を稼ぐために働きながらクラブ活動している人は殆どいないはずです。海外の大学生のように勉強しまくるわけでなく、毎日数時間の授業を受ければ即フットボールの時間です。ミーティングやトレーニング、そしてチーム練習として使っている時間の中で「打倒社会人チーム!」と銘打った時間はありません。基本は同リーグ内プラス関西リーグのライバル校や強豪校を見た年間スケジュールが組まれています。
社会人チームがどんなものか?誰も興味ありません。春にノジマ相模原ライズと練習試合が決まり「相手は大きくて強いよ!」なんて発破をかけると「だからって僕はそんなに押されませんよ(笑)」と返答した下級生のラインマンも居ました。どんな選手が居るか知ってるの?と尋ねましたが日本代表経験者や、各強豪校の主将をしていたような人だけが社会人1部リーグでプレーしている法則すら知らない様子でした。下級生のラインマンが125キロの熟練選手に無調査で正面から戦っていては簡単に勝てません。しかし相手も別にNFL選手ではありませんし、対抗手段を講じて練習に練習を重ねればどうにかなる相手です。でも、そもそも知らないので関係ありません。このように関心もなく知識もないのが大学生にとっての社会人チームなのです。
僕は社会人時代ライスボウルに出場していますが、やはり学生リーグには関心がなく、相手チーム主将の名前だけを知っている程度でした。ビデオを見ることもしませんでした。相手になるわけがない。と勝手に考えていましたので。自分たちの真の目標は社会人リーグ制覇であり、ライスボウルは言わばオマケ。昔でいうオールスターゲームのような感覚で、単にご褒美試合と捉えていました。
しかしいざ優勝してみると、世間の目は社会人リーグ制覇の時(大阪で地上波は当日の深夜)より国営放送で地上波ライブ中継するライスボウルの方が遥かに上で、とても多くの皆さんからお祝いの言葉を頂戴したものです。
しかし!今は地上波ではなくBSでの放送しかありませんし、お正月だからと家族でのんびりテレビを見る時代でもありません。偶然テレビでライスボウルを見る人数は著しく減ったと思います。翌日の朝刊も大した面積を使っていません。
今年は大きく強く早いアメリカ人ランナーが最優秀選手となり、富士通の強さを象徴する働きを見せました。アメリカンフットボールというものがよくわからない人には確かに強い社会人がアメリカ人を擁してひ弱でヘタクソな学生をいじめている。ように見えると思います。試合のスコアボードだけを見るとそうでしょう。これだけ差がつく決勝戦だし、もうライスボウルの役割は終わったのではないか?とネットでは話題です。
「どっちが勝つかな?」のお楽しみは、超強豪じゃないチームがうまくリーグを勝ち抜いて出場すれば良いのですが、これがなかなか難しい。80年代のレナウン王朝から昨今の富士通まででライスボウルに出場したチームはわずか8つ。マグレ出場は我々アサヒ飲料だけ。社会人のリーグ戦も今季からシステムが変わりますが、マグレを許さない仕組みになりました。
で、結局何が言いたいのか? いきなりライスボウルが無くなったりすれば別ですが、学生さん側は「次元が違いすぎる」「死ぬ気でやってこいと指示できない」「ついこの間まで高校生だった子も居る」と完全降伏宣言するならばライスボウルを勉強の場として割り切れば良いのです。20年前に僕らが海を渡り本物のNFL選手の中で修行し、大きな大きな経験を知識化して日本に持ち帰りました。自分以外が全員NFL選手の中で人生を賭けた勝負の中に放り込まれ、恐怖と戦いながら必死で生き延びてきました。そんな超ド級の経験があったからこそ帰国後に僕がフットボールで成功出来たのです。勝負勝負と無理をせず分相応に身の程をわきまえて、プロ選手たちの生態を穴があくほどに観察して勉強してきました。
4年間しかチームに関われない大学生は、自分が居なくなった後のチームへの愛が社会人のそれとは全く別物です。その年のライスボウルで学んだ事を来年以降のチームに残す貴重な財産として蓄えていく土壌を作っていくべきです。年に1チームしか招待されない特別なゲームに何が何でも進出し、ライスボウルでしか学べない何か「スペシャル」を得れば良いのです。
プレーオフやチャンピオンシップを勝ち進むとチーム力はグンと上がります。毎年同じチームだけがライスボウルで色んな学びをされていてはドンドン差が開いてしまいます。早稲田はもちろんのこと2019年も打倒関西学院大学を目標として共に頑張っていきましょう!
さて、そういう訳で打倒富士通、打倒関西学院大学は全国のフットボール関係者共通ワードでございます。今回大活躍した富士通のRBニクソン選手すごさの秘密、大学リーグで良い成績を収めた早稲田のランニングバックの練習方法や考え方をこのオフシーズンに一般の皆様に勉強して頂く機会として毎年開催しております「タモン式RB養成所2日間集中レッスン」の開催が決まりました。関東エリアでは1月の19日と20日です。
ご興味のある方はこちらまでお問い合わせください。info@qbdojo.com
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ではみなさん本年度もどうぞ宜しくお願い致します。
