多聞コラム4jan2018_vol,193 ライスボウルの歴史に終止符打たんこうや

 皆様あけましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。 今回は今年のコラム始めです。うっかり1日遅れてしまいました。今年もどうぞよろしくお願いします。

もちろんタイムリーなライスボウルのお話になります。半分プロの大型外国人選手とアマチュアの大学生がコンタクトスポーツをして大丈夫なのか?社会人が勝つに決まってるよ!などと毎年ライスボウル不要論が各方面から出て参りますね。今年もたくさん聞きました読みました。

でもまずはこれを先に書いておきます。負けてはしまいましたが、今回の日本大学フェニックスの戦い振りに感動したということです。年間を通じてやって来たことをそのままに、クオリティだけを上げて無敵艦隊富士通に真正面からぶつかって行った(ようにみえました)気持ちの強さに感銘を受けました。

「相手も所詮はNFLでもない日本のアマチュアや。1回当たっただけで全身の骨が折られる訳でも何でもない。せいぜい俺たちより少し強いかもしれないって程度や。毎回本気で行けばどうにもならんって事はないだろ。だからとにかく気合だけは負けるな。あとは練習して来たことを出せば良い!」なーんて感じでビシーっと統率されていたのかなぁと思って見ていました。

僕も社会人時代にライスボウルで関学と戦ったことがありますが、その時の関学の選手らがまさに「ファイターズ」で、充実した集中力で全く物怖じせずに実力では上回る我々に60分間牙を剥き選手の皆さんが素晴らしい活躍をされていた事を思い出しました。ま、我々は富士通のように本物の強さを備えていなかったので負けちゃいましたけどね。監督は同じ人なのに。

で、話を戻しまして、今年のゲームは結果としては勝負所もなく、地力で負けている分だけジワジワと点差が開いてしまいました。しかし随所に気持ちのこもった好プレーがあり、富士通をなかなか波に乗せませんでした。富士通の選手、特にレギュラー陣には圧倒的に気持ちの余裕がありましたので、超ロングパスタッチダウンを取ったら流行の戯けたダンスを見せたりと「負ける訳が無い」という気持ちが現れていましたね。絶対的な自身があればこそでしょう。

で、このライスボウルですが、ある監督さんは「学生は勝てば良いけど,

社会人はリスクだけしかない。社会人側は勝って当たり前、負けたら大損」と仰います。しかも会場となる東京ドーム使用代金は社会人の出場チームが払うらしく「何も得がない!」そうです。今回のように読売ジャイアンツのゲームほど満席ではないにせよ、3階席もそこそこ埋まる程度に有料入場者が増えたところで出場チームには大して関係はない。と聞けばまあ確かにそうですよね。と感じます。

僕の学生時代は社会人がまだ全然弱くて、学生が勝って当たり前の時代でした。そして社会人プレーヤーになってからの1番の目標はやはり「社会人選手権の東京スーパーボウル(現JXB)優勝」でした。ライスボウルはイマイチよくわからないというか、オールスター戦に近いイメージでリーグ戦を過ごしていました。

そしてその「社会人決勝戦(JXB)に出て活躍がしたい!」という思いだけで移籍を繰り返しようやく手が届く所に来た時にはもう「社会人は学生に負けない」という時代になっていました。よって、そんなものをフットボール人生の最終目標には出来ないし、それよりも強豪がひしめく社会人リーグを勝ち抜く方がよほど大変ですので、注意はそちらに向いていました。

そしていよいよ「決勝戦(JXB)」への切符を手に入れても、まだライスボウルなど意識の片隅にもありません。どうにかして電工を倒し優勝したい。だけです。

そして社会人で優勝し、ヒーローインタビューでようやく次のライスボウルはどのように戦いますか?とアナウンサー氏に訪ねられても、試合というよりも「お祭り」というイメージでした。可愛い学生さんたちが一応試合で我々に挑んでくる。という感じでしょうか。「学生さん、しっかり練習しておいでよー」なんて失礼な事を口走った覚えがあります。長く苦労して31歳でようやくトロフィーを獲った直後で興奮していたのでしょう。

とにかく、それまでは全く頭の中にないゲームでした。しかし年末と正月を挟み、3日に試合があります。試合があれば相手がどこであれ、するべき事をする為に全員が集合し、ライスボウルまでの2度の週末は力量のよくわからない学生さんとの対戦に向けていつも通りしっかり練習しました。

そして、予想通り試合では学生さんを圧倒しシーズンには試合に出られなかったレギュラー外の選手も大舞台でプレーを経験し、皆が最高の気分で優勝トロフィーを囲んで写真撮影しました。ここまではまあいつもの試合ですし、写真撮影です。僕は最優秀選手だったので囲み取材の対応にずいぶん時間がかかりました。NFLヨーロッパのワールドボウル優勝時に次ぐ取材陣とカメラの数です。自分たちが重きを置いていた「社会人決勝(JXB)」よりもかなり多かったように記憶しています。

そして翌日の新聞です。スポーツ新聞は当然ながら、一般紙も経済新聞も、一面にカラー写真で僕が出ています。「アサヒ飲料初優勝」「中村有終の美」などと、芸能人同士電撃結婚くらいのどデカイ見出しで1月4日の朝刊を東京駅で買いまくりました。そして大阪に戻ると同じ会社の新聞でも中身が違っていたりするのでまた買いまくりました。

そして、友人知人から祝福の連絡が後を絶ちません。当時はまだSNSも無く、電話もかなり使う時代でしたので引っ切り無しに電話がなりました。そこで気付いたのです。

「ライスボウルの影響エグいな!!」と。社会人で優勝しても一般の友人は無反応でした。全くと言って良いほど。CS放送でライブ中継、当日の深夜に地上波で放送があったのにです。ですから僕としては試合としての本当の価値には目をつむり、やはり日本選手権という名のもと、一般の人々には「全国優勝」以外何者でもなく、マニアが不要論を出そうが何だろうが、社会人にはリスクしかなかろうが、その試合が「日本選手権」であればフットボールを世に知らしめる為にはそれで良いと思うのです。

ただ!!ただですね!当時と違うのは放送が「衛星放送BS」しか見れないって事です。普通のNHKでやっていたのでお正月で家にいる人はテキトーにチャンネルぐるぐる回してたらフットボールが見られたのですが、現在は衛星アンテナを設置しているようなお金持ちしか見られなくなってしまったので僕の家でも見ることは出来ません。

僕はプロのアメリカ人選手に激突しまくってしまくって「強い心と技術」を身につけました。だから学生選手の皆さんは逃げたりかわしたりの方策を練るよりも、体の大きな社会人チームのアメリカ人選手にとりあえずメチャクチャ思いっきり激突しまくってみることです。ダメならまた来年までしっかり体を鍛えて挑戦すれば良い。そのチャンスは今やこのライスボウルだけですもんね。

試合前に「国歌」がかかり、やたらと静粛があるので無駄に緊張が走ります。慣れない屋根付き球場でいつもより大きく響く歓声、日本ではあまり体験できない15分正式計時、今年に至っては微妙な判定がビデオで覆るなど、やはり超のつく日本最大のビッグゲームです。最高のスリルが味わえます。これは重責を背負った立場でこのゲームに出場した者にしか味わえない特権です。横から見ていて「意見」を唱えることはファンならではの楽しみですが、僕が人生を賭けてきて歴史に名を刻んだ大切なボウルゲームですので、孫が生まれるくらいまではこのままにして置いてもらいたいですかねー。

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