多聞コラム29nov2017_vol,188「タモン式教本18」 作戦の遂行さえ出来れば良いのではない

 2017シーズンがほぼ終了しました。昨年から始めたチームに所属しての「タモン式ランニングバック養成所」活動が2カ年経過した訳です。1年目は春と秋で所属するチームが変わり、チームの皆さんとはそれほど親しくなれませんでした。今年度は丸々1カ年を同じチームで過ごし、少しは意思疎通が出来たような気がします。

ここまで2カ年で僕も色々と学びました。以前から唱えているように、コーチは失敗を重ねてもクビにさえならなければ経験を重ねて翌年はより良いコーチになり得る訳ですが、チームの要となる選手は1年1年が選手生命終焉との戦いであり、失敗は許されません。失敗している時間など無いのです。

ですから、しっかり教えたが上手くならなかった。では済まされないハナシなのです。ですが、選手側も僕が考えるほどコーチを頼りにしていないようにも感じました。

理由としてはこの2点かと。ひとつは僕のような人間性ですと信用出来されにくい事は否めないので、賢い人には毛嫌いされるのが通常です。もう一つの理由としては作戦には一切触れずにポジションの技術向上だけに目を向けたコーチが殆どいない事だと思います。なので技術論を他人からあまり聞いたことが無いために、質問したり考えたりする習慣が無いということに気づきました。

これまで先輩やコーチ監督に何となく聞いてやっていたプレーだけが正解で、その他には正しい答えなど無い。と思い込んでいる人が予想を遥かに上回る割合で存在していました。これにはとても驚きました。ほとんどの選手は「作戦の遂行さえ出来れば良い」と思っているのです。個人個人が最高の動きができてこその作戦ではあるのですが、どこかで何かがチグハグになっています。とは言えフットボールインテリジェンスに於いては皆が素晴らしい物を持っていて、どうにかこうにか格好が付いています。よって脳みそが自分や他人の技術不足を認めない風潮になっているのでしょう。

この凝り固まった考え方や習慣が体と脳みそに染み付いた人をカスタムしてスペシャル度を向上させる事が殆ど出来ないままに2カ年が過ぎてしまいました。僕に対して心を開かない、関心を示さない、という強固な姿勢を崩さない人もある一定の割合で存在していますが、興味も関心もあるが新しくインストールされた情報を上手く使えない人が大多数です。

ある日、早稲田大学グランドに卒業生であられるオービックの大橋さんが練習の見学にいらしてたので少し雑談をしていたところランニングバックの話になり、いやー変なクセのある選手が多くて中々苦戦しています。高校で習ってきたやり方がどうにもこうにも可笑しな感じになっていて、こんなんじゃまるっきりトップリーグじゃ使い物にならないんですよ。どうしたもんですかねー?なんて話になりました。

それはあるある。高校での成功体験が染み付いちゃってるんだろうねー高校レベルじゃ少し俊敏なだけで守備選手から逃げられるからさー。と仰いました。そうなんです。みんながそんな感じのノラリクラリと守備選手に触れられないように逃げ惑うんです。これって高校の時の問題なんですか!と僕が何となく困っていたことを大橋さんがわかりやすく言葉にして下さったのです。

だからそういう「クセ」を抜いてあげることから始めないとダメなんだ。となり「タモン式ランニングバック養成所」でのカリキュラムが若干変更になりました。指導しても指導しても返事は良いが一向に指示通りやらない選手が何割か居るのは僕に対して「舐めてる」「逆らってる」のではなく昔からのクセがついつい出ちゃうだけなんだという事が明確になったのです。

それからはそういう選手の過去のフットボール履歴を尋ねるようにし、何が彼の頭の中を邪魔してるのか?に注力するようになりました。今までは高校でフットボールをせず他のスポーツをしていた選手と、頭が切れて勇気があり飲み込みが早い選手の2種類だけを上達に誘う事が出来たのですが、これからはこの「クセを取る」という一手間をかけて指導に邁進したいと思います。美味しい料理を作るときも「アク」を取ったり「ヘタ」を取ったりしますからね。同じですね。

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