僕がコーチをしているノジマ相模原ライズは大雨の横浜スタジアムでここまで全勝のパナソニックと対決しました。前半終了時点では14−21と中々の好ゲームです。3Qにノジマが3本目のタッチダウンを取り同点になるはずがPATのキックを外してしまうミスを起こし、試合の最後で同点にするため仕方なく2ポイントコンバージョンを狙い失敗、2点差で敗れた。というあらすじでした。
昨年度から変更された新しいリーグ戦方式は拮抗したゲームが増えてどのゲームも試合結果が先読みしづらくなってファンは楽しめるのですが、やる側は本当に大変になりました。今年度のSUPER9同士の対戦だと平均点差が約14点とぼろ負けぼろ勝ちが殆どありません。以前だと決勝に進出するような強豪チームだと開幕からの2、3戦はやる前から結果の見えている試合がありましたので、調整が可能でした。しかし現在は本場NFL同様に開幕戦から優勝候補同士の激突があったりします。まだお互いに本領を発揮できないまま決着がついてしまうので少し勿体なくはありますが、この辺りが未来の社会人リーグを面白くできるかどうかのポイントになっていくのでしょう。
そして今週末(11月11日。僕の長女の21歳のお誕生日だし是非勝ちたい)にベスト8のチームが準々決勝を戦います。横浜では当日券二千円の超お得な1日に3試合がおこなわれ、長居では1ゲームです。ノジマはリーグ戦でシャットアウト負けを喫したオービックとの再戦です。昨年度のノジマはポストシーズンに残れなかったが故に順位決定戦があり11月末までシーズンがありました。でも今年は勝ち残っているのにここで負ければ即終了となり、昨年より3週間も早くシーズンが終わってしまいます。それではちょっと寂しいですし選手諸君らには頑張って貰い次のステップに連れて行って貰いたいものです。
シーズンがここまで深まってくるとテクニカルコーチの出来ることは殆ど残されておりませんが、技術的にも精神的にも未成熟で不安定な若手選手をサポートするのが最近のマイブームなので、昭和50年台を彷彿させる僕の怒号を聞きにぜひ横浜スタジアムまでいらして頂ければと思います。観客席の一番上まで余裕で聞こえる大声で張り切っています。ちなみに午前11時開始です!
そして早稲田大学ビッグベアーズです。日本大学フェニックスの気迫の前に散りましたですね。やはり1年越しの捲土重来にしてやられました。僕はノジマのゲームを横浜で終えてから川崎に移動したのですが、大雨でランプレーの比重が高かったのか予想よりも30分以上も試合進行が早く、ハーフタイム頃に到着予定が4Qに差し掛かる時間になってしまいました。到着した時には3−7で負けています。150人以上が立つビッグベアーズベンチも意気消沈し凄まじい負のエネルギーを発しています。普段のフットボールを楽しむ朗らかで陽気な皆んながどこにも居ません。「みんな元気出して出して!」なんて言ってはみましたが僕ごときではどうにもなりません。そうしているうちにもう1本取られてしまい3−14です。残り時間的にはまだ逆転が可能だったのですがヤル事があまりうまくいかず試合はそのまま終了。3年連続のリーグ優勝&甲子園ボウル出場は日本大学が残りの2試合を負けた上で早稲田が残りの2試合を勝つ必要があるというかなり険しい道になってしまいました。ひとまずは自分たちの出来ることに集中し、練習に励む以外に方法はありません。
大雨でもあれだけのパフォーマンスを演じられる日本大学フェニックスの1年生QB林選手に賞賛の声が多く挙がっています。今後の成長がとても楽しみな選手ですから大きな怪我をせずに4年間戦ってくれればと思います。学生フットボールが盛り上がる事間違いなしです!
そして問題は早稲田ランニングバック陣です。記録上では3人併せて22回持って52ヤード獲得し、タッチダウンなし。平均2.3ヤード。そら負けますわ。ランニングバックたる者、活躍できたときは周りのみんなのお陰で、その逆は自分の責任だ。とこれまで懇々と教え込んできています。1回に2.3ヤードしか進まないランプレーじゃ作戦も何もあったものじゃ無い。と1人ずつ呼び出しては叱りまくりました。もっともっと精進してもらわねばなりませんが教え方も悪いハズなのでもっとシゴキに磨きをかけていこうと思います。
昨今のフットボールは脳しんとう問題など色々あるのでそれほど毎日猛練習をする環境ではありません。負けを取り返すために今までの倍の練習をやる!などという習慣がありません。ですから選手らはシーズン中に上達するのが難しくなっています。フォーメーションやセットプレーを総ざらいしイマジネーション力を高めてから練習を開始し、シーズンに入ってからは強烈なヒットやタックルは怪我を防止する意味でも殆ど行われないので、試合に出た選手しか「トップリーグの選手が織りなす本気のスピードやパワー、ヒットやタックルを味わう事」ができなくなります。
本場アメリカのプロもシーズン中の練習で自チームの選手相手には本気のヒットやタックルをお見舞いすることはありません。各種格闘技でも同じだと思いますが、全ての練習を試合と同じ威力の打撃を打ち込むには安全管理と準備が大変です。
フットボールも試合形式の練習で「寸止め」のテクニックが要求されます。実際に強く打つには「撃ち抜く」というイメージでなければなりません。しかし寸止めで練習効果を大きく求めようとする為には、撃ち抜く時と同じスピードとパワーで敵に迫り、超のつく急ブレーキで寸止めを完了させる技術が求められます。これが難しい。日本でこれを上手にやれている選手はほんの数人です。
この精度が高ければ「寸止め」の練習でも試合さながらのスピードとパワーを発揮した上で尚且つ安全ですのでコーチ間での会話もしばしばココに行き着きます。高い実力を持った人の「寸止め」と未成熟な人の「寸止め」では、練習効果が丸っ切り違ってしまいます。ですから未成熟な人が多いチームでは「寸止め練習」をしていても上手くなり得ないのです。僕もレベルの低かった大学時代は当たり前のように練習でもフルにタックルしていましたが、そのタックル自体の威力が弱いので誰も怪我しません。
試合形式の練習で、プロの守備陣にロックオンされて何百プレーも練習できたのは日本では僕だけが得たレアな経験です。このまま突っ込まれれば確実に大怪我させられたな。と思う事もしょっちゅうありました。彼らは上級者ですので絶対に安全なのですが、やはり体も大きいですし怖いです。必死で走りつつも恐怖を克服する気持ちの余裕を残しておかねばなりません。そのスリルの中で密集に突っ込み、わずかに見える隙間(デイライト)に向かって方向を変えたり速度を上げながら勝負する。プロの練習では、相手も味方もほぼミスをしない中で「最高の演武」をコーチに見てもらう。という表現の場でしたので、僕は練習の仕方にとてもとてもこだわりがあります。指導している選手らには少しずつそういう事が伝わってきていますがいかんせん彼らは「本物のプロ選手」を生で見た事がありません。アメリカ人のフットボールをどうやって伝えていくかがしばらくのテーマになっています。
リーグ優勝終盤もみんなに大きな怪我なく良い結果を得られれば良いのですが。
