多聞コラム14jun2017_vol,168 しっかりガンバって目標のトロフィーを手に入れましょう

 少しの間、休載させて頂いておりました。次女の高校卒業式と引っ越しがあり、そこにノジマ相模原ライズのパールボウルトーナメントに、早稲田が毎週試合などなどフットボールも春の終盤、バタバタでゆっくりと執筆の時間が取れず仕舞いでした。

引っ越し作業が滞る最大の原因のひとつとして、懐かしの写真や思い出の本などをつい読みふけってしまう。などがありますが、我々フットボール関係者は「昔のビデオ」も作業の邪魔をしてくれますよね。我が家には高性能なVHS再生機が2台常備してあり、随時HDDに録画し、必要なものはDVDにコピーする作業をしています。

今僕はNFLをかじって来た日本唯一のランニングバックだとか、日本選手権や社会人選手権で活躍したことがある。などと言う触れ込みでとても偉そうに「ランニングバックコーチ」をしています。指導対象である選手の一挙手一投足を観察し、わずかなミスや不注意も見逃さず「アホボケ○○○○○○○」と怒鳴り散らすいわゆる昔ながらのコーチです。

「何べん言うたらわかんねん!」「また同じミス!」「気合入れろ!」「勇気出せ!」「ビビんな!」「相手をぶちのめせ!」「思いっきりやれ!」「目ん玉広げて敵を見ろ!」「逃げるな突っ込め!」「頭をさげるな!」「何が何でもエンドゾーンまで行け!」「足を前に出せ!」「気持ち込めろ!」なんて根性論を延々と繰り返しています。

我がタモン式ランニングバック養成所は「日本のランニングバックのスタンダードを変える」という理念のもとに活動しておりますので、勿論日本最高の技術論も山ほど用意しています。しかし、その技術は途方も無い数の反復練習をやった後に自然と身につくモノが殆どなので、まずは「魂込めて全力でプレーする」と言う条件を最初に押し付けます。

実はこれだけでパフォーマンスは50%増しになりますので皆さんも是非お試しください。まあ殆どの選手は「全力」を履き違えていて、これすらも中々難しいようですが。

で、VHSのビデオの話ですが90年代前半に三武ペガサスでプレーしていたビデオが出て来ました。春のパールボウルです。懐かしいなーちょっと見てみるかー確か活躍した記憶あるなーなんて気軽に再生ボタンを押して自分の動きをチェックします。当時のナカムラタモン選手、確かにボールを持って「行けそう!」な時はまあそこそこ良い走りを見せる時もあります。

アイフォーメーションのフルバック(FB)についたナカムラタモン選手は、真ん中のランブロックも何とか必死でやっているのがわかりました。それでも75%はしくじっています。ただ、パスのプロテクションや外へのランブロックが素人丸出しのど下手くそ。全く役に立っていません。どちらか言うと邪魔です。そのせいか、自分に飛んでくるスクリーンパスは「パスプロをしくじって振り向くとボールが飛んでくる」と言う筋書きですので見事にハマります。お察しの通り、さっきまでパスプロではしくじりまくっている僕を誰も警戒していないからです。とは言えまあ雑なフットボールをしていました。こんな輩がよくもまあ偉そうに人様に指導しているなと自分でも感心してしまいます。

で、この時の気持ちを思い出してみると、全てのプレーに一生懸命貢献しようとしてはいるのですが、具体的なやり方がわからなかったのです。ひとつひとつのプレーで役割が細かく決まっていて指示されますが、紙の上での作戦です。実際の局面では予定していた場所に敵がボヤーッと立っていることはありません。

こちらの動きや作戦が同じでも、常に相手が同じ反応をする事など絶対に無いのです。ですからフットボールインテリジェンスが著しく低い僕は「どうすべきなのかの策が思いつかない」のです。「応用が利かない」のです。でも気持ちは必死です。サボる気も毛頭ありませんが先輩らからは「オメーはボール持たねー時は全然マジメにやらねーな!」と指摘されていました。

アメフト一流チーム出身の先輩方は、僕のレベルがこれほどまでのアホだとは気づかなかったのです。ミーティングでは僕もわかったような気になるので「はい!わかりました!」なんて良い声で返事するのですが、実践では全くダメです。

これはその後に移籍したサンスターでも同じでした。守備隊形ごとに変化する攻撃の役割を覚える事が出来ず、迷ったプレーばかりでチームの役に立つ選手とは言えませんでした。ただ、ボールを持つプレーは役割が理解しやすいので思いっきりやれました。ま、僕のことはこれくらいで良いでしょう。

で、今。フットボールの作戦面は20年前と凄く変わっています。作戦の精度が緻密で、並び方だけでも途方も無い種類が用意されています。まあたまには失敗もあるさ。と言う昔のフットボールは影も形もありません。

この中でランニングバックの能力も昔の何倍も求められます。社会人リーグではアメリカ人QBが主流になっていますので、英語読解力も必要です。下手をすればミーティングまでもが英語で進行されますからね。

元サンフランシスコ49ersの殿堂入り守備バック「ロニーロットさん」がドイツの飲み屋で酔っ払いながら自分の胸を指差しながら言った「おいタモン、フットボールはココやココ」で教わった「フットボールは結局根性」論。ではありますが最近の日本ではあまり必要とされていません。

とりあえず現在の日本では根性よりも知力や理性が求められています。チームメイトへの優しさ、社会や学校での礼儀や規律正しさも持たねばなりません。学生ならば学業、社会人なら仕事と家庭もしっかりやらないと絶対にやっていけない時代です。朝まで酒を飲んでそのまま試合。タバコを吸う、コーチを殴る、後輩を殴る、街で暴れる、などの体育会特有のオモシロ文化はもはや化石です。文武両道でないと一流と認識されなくなっているのです。僕など到底やっていけない世界です。20年前で本当に良かったと思います。

しかしですね、それは僕が低いレベルで競技していたからです。「日本一」やそれに準ずるような目標を本気で掲げているならそんな小さな枠に収まっていてはアカンでしょう。インテリジェンスを高め、体力も技術も根性もライバルを上回っておくのは当然です。チームから与えられた宿題だけやっていても勝てるワケがありませんし、最後に負けて泣くのは自分たちです。負けて泣くなら、いつも泣くほど練習しておいてください。自分を信じて、人がやってない事、人が思いつかない事を徹底的にやり続けて満足いく結果を掴み取りましょう。しっかりガンバって目標のトロフィーを手に入れ、幸せな現役時代だったと言える思い出を作ってくださいねー。

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