多聞コラム15sep2016_vol,143 コーチって難しいですね。でも諦めません

 タモン式ランニングバック養成所が指導させてもらっている「ノジマ相模原ライズ」が今シーズン開幕2連敗。僅差での惜敗とはいえ数年後にこの記録を見たときには「敗戦」以外何もありません。開幕2連敗など社会人になってから初めてです。相手のあることなので「常に勝つ」という事こそ厚かましい考えではありますがそれを踏まえてもやはりションボリです。負けるより勝つほうが良いに決まっています。今年から導入された新しいリーグ戦の制度を理解していませんので、未来があるのかどうかもよくわかりません。

そして3節目は大雨の中どうにかこうにか今季初勝利。しかしランニングバック陣が殆ど活躍していないのですね。走れるアメリカ人QBが加入したとは言えランニングバックが機会を生かしきれていないのは否めません。パッシングモアな攻撃スタイルの合間ですらランプレーで敵を切り裂く事が出来ないわけです。これは「タモン式」の指導力不足の他なりません。

ノジマ相模原ライズはトップリーグに所属していますから「日本一を目指す」という大義があるのでタモン式では「日本一の取り組みは当然」という指導法を用いています。一切の妥協なく全身全霊でランニングバック道を邁進せよ。という事です。

実力や能力が日本一かどうかより、君の取り組みは日本一なのか?家族や仲間から日本一の取り組みをしていると認められているか?という問いに対し「当然だ!」と即答できるかどうか。そうでなければ練習毎に仲間の前で「日本一を目指すぞ!」と叫ぶ資格などない。恥ずかしげもなく100人の仲間にウソをつくような者に決してトロフィーが転がり込んでくることなど無い。というハードな考え方です。

仕事や家庭の環境に恵まれずフットボールを続けていくだけでも大変だ。というような事情もあるでしょうがそれは「日本一を狙う資格がない」だけのこと。不遇や不公平は必ずあるわけで、みんながみんな最高の条件で練習や試合に臨めるわけでもなく、最後に勝利するのは1チームのみ。どれだけやったか?を競い合った上でゲーム当日の出来と運はまあ色々あるでしょうし技術コーチの僕がどうにか出来る話ではありません。

フットボールで上手く行かず挫折して心が折れそうになった27歳の時、取引先だった元バイクレーサーの社長さんが僕にこう言ってくれました。「タモンくん、ワシは昔レースしてたんやけどな、レース終盤に表彰台には立てない位置で走ってたんや。でもな、トップグループがコケてしもて、ゴールしたら表彰台に立てたんや。だからな、勝てないかもしれへんからって諦めんと全力で前に進んどかなアカンのやで。まだまだ諦めたりすんなよ!」と力強く話してくださいました。そして失速しそうになった僕のヤル気は挫折前の状態に復活し、いろいろあって(詳しくはコラム多聞物語参照ください)今に至ります。

僕の場合はヤル気と体力だけ一人前で、技術と経験、そして作戦の理解力がマイナス点でした。試合に出るためには非常に不利な状況です。体力だけあって経験も少なくその上バカ。こんな奴を使うコーチは居ません。でもこの不利な状況にも挫けず何しろ今日出来ることを徹底的にヤルしか補欠に残された道はありません。レギュラー陣の怪我で繰り上がり当選を待ったとしても、大切な試合で活躍できる実力が伴わねば大恥をかくどころかチームに迷惑をかけてしまいます。

話が少し逸れましたが、「日本一を目指す」は単なる合言葉ではなく本気の本気で取り組まないとウソになります。しかし、3部リーグの大学を出て10年後にようやくエックスリーグで大活躍するほどに成長した僕のやり方や考え方はとてつもなく極端で、普通の社会人選手に真似できるハズがありません。生きている時間を全てランニングバック道に費やし、家族や仕事は最低限、何しろ全てがランニングバックです。「残業が」「子供が病気で」とか、ランニングバックとして成長するのに邪魔なことは全部無視か後回し。ですから未熟な選手が「日本一を目指す」と大声で叫んでいると努力の仕方が半端ではその目標が叶わない事をよく知っています。

ある程度の選手であれば、やり方を少し修正するだけで飛躍的に結果が変わってくるハズの「タモン式」ではありますが本人のヤル気に関わらず「既成の概念による固定観念」と「長年蓄積されてきたクセ」には勝てない場合があるのだと痛感しています。人は変化を嫌い、適応するのに時間を要します。時間をかけて慎重に取り組まねば成果が生まれない。「時間」がこれほどに重要だとは想定外でした。コーチって難しいですね。でも諦めません。それが僕の生き方だから。

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