多聞コラム28apr2016_vol,129 IBM入団

 アサヒ飲料チャレンジャーズで選手生活を終えその後10年間をフットボール評論家として過ごして参りましたが、なんと今年度より現場に顔を出し始めております。

縁あってエックスリーグの強豪、IBMビッグブルーのランニングバック陣に僕の知識と経験を伝授する活動を開始しました。IBMにはアサヒ飲料チャレンジャーズチャンピオンクラブの盟友らがコーチとして在籍しています。ヘッドコーチの山田(関学OB)、守備の上田(京大OB)、ラインの昌原(立命館OB)。気心の知れた動きやすい環境な上に熱烈な勧誘を受けたのでこの活動の依頼を受けました。但し、現在のところはチーム所属コーチとしてではなく、あくまでも僕の知識と経験をランニングバック陣に伝授するだけの活動です。活動組織名は「タモン式」です。このコラムでも「最強RBへの道初級編」を書かせていただき大きな反響を頂きました。このIBMでの活動は「タモン式最強RBへの道初級編/実技指導バージョン」です。

みなさんご存知の通りIBMビッグブルーのRB陣には日本代表経験者の猛者がズラリです。そんな彼らを捕まえて「初級編」とはなんたる上から目線!とお感じになられるでしょうが、そこは気にせずまずはアメリカンフットボールにおける「ランニングバックというスポーツ」の基礎を徹底的に理解してもらわねばなりません。彼らがこれまでに日本で習ってきたランニングバック術は元ネタがわからないような古いシロモノです。ど下手くそが初心者の時に注意すべきことばかりで、実戦では全く使えないようなテクニックや考え方ばかりです。これではダメなので、アメリカに古くから伝わるランニングバック術を僕が独自に日本人向け(自分向け)にカスタムした理論にアップデートしてもらいます。いわゆる洗脳です。使用する用語も重視するポイントも今までの日本古来の伝説とは全然違います。

しかしそんなとんでもなく古くて使い物にならないはず(少なくとも僕はそんなのでは上手くなりませんでした)のテクニックを使って日本代表になるとは一体どういうことなのか?!と興味津々でした。

答えは初日の練習でわかりました。地力というか元々備わっている運動神経や反射神経に瞬発力筋力持久力精神力作戦理解力その他諸々が僕なんかとは比べものにならないぐらいに凄いのです。それだけの地力を使えばこんなお粗末なRB走行術の知識で日本代表になれてしまうんだという事に敬服しました。

しかしここからは問題が山積みです。週に2度っきりのチーム練習では上達するチャンスが少なすぎです。スクリメージは当然みんなで交代出場ですしパスがあったり誰かのミスでプレーが潰れたりで、良いイメージでボールを持つ回数が1日に1回2回しか無い場合もあります。これでは出来ることの確認作業だけになってしまいます。運動不足解消にすらなりません。最も重要な「出来ない領域へのチャレンジ」をする事が許されないわけです。この状態には僕もかなり困っていますし焦っています。あとは練習せずに座学だけで上達してもらう以外に手はありません。いやいや、それはムリというものです。

僕が合流してから2ヶ月(練習日数で15日ほど)が経ち、ようやく共通の言語で意思疎通を図れるようになってきました。「タモン式」には効果的な独自のメソッドはありますが、カチッとしたカリキュラムがあるわけで無く、自分がやっていた練習や考え方を彼らの体調や気分に合わせて次から次へと提案し、選手らの脳みそが賢ければ賢いほど混乱するように仕組まれています。

1つのプレーやドリルで与えられる課題にどれだけ挑戦して成功して反復して身につけるか。ココに重点を置いてシゴキまくっています。

彼らが狙っているのは「日本中の相手守備から恐れられる選手」になること。その為には日本で最も過酷な内容の練習を、他チームの守備陣の何倍もやらねばなりません。過酷と言ってもたくさん走ってしんどい思いをするとかではなく、考えて考えて考えまくってノイローゼになってそれを乗り越えてまた壁が登場してそれもぶち壊して悩んで迷ってまた一皮むけて、、、、の繰り返しが過酷なのです。今はまだ頭の中で最高のイメージを作り出せていませんが、そのうち描けるようになります。そうなればあとはイメージ通りの動きが実際にできるように反復するのみです。理想の自分が見えてからの練習ほど辛くて大変なものはありません。ほとんどの行為が満足の行くレベルに達するハズがないワケです。当然です。理想なのですから簡単には全てが揃いません。頭で描いた「完璧な走り」など相手がどれだけ弱くても中々出来るものではありません。はるか先を走る理想の自分が頭の中に見えてからが勝負の始まりです。イメージ出来ない事に向かうのは暗闇を走っているのと同じです。

僕の場合はNFLなアメリカ人RBというお手本を毎日見る事のできる環境があったのでイメージそのものに苦労はしませんでした。しかし彼らは自分より圧倒的に上手い選手と一緒に練習し続けたという経験が少ない為、この部分での負担はかなり大きいと思います。

とは言え目標を達成できるようになるまでシゴキは続けるつもりですが、いつ飽きてほっぽり出すかはわかりません。。。。

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