多聞コラム17mar2016_vol,123「ゴリゴリ多聞、自伝を語る54」帰国からの代表合宿参加

ワールドボウル

NFLヨーロッパ(NFLE)の王者を決める「ワールドボウル」で優勝して地元に帰り、チームは解散になります。その前に慰安旅行みたいなものがありました。

 行き先はデュッセルドルフからバスで約1時間のところにある「ワーナームービーパーク」です。つまりは「ユニバーサルスタジオ」の会社が違う版な遊園地です。

 ここで無料券が配布され全員にヘッドコーチから「一日遊んで来い」というアサイメントが与えられました。

 つい先日にワールドボウル優勝の地元チームが来るって事で、遊園地側も一般のお客様も大変喜んでおられるようでした。

 「ライン・ファイアー」と言うだけでというか、言わなくても1時間以上行列のある人気アトラクションにスイスイと先頭に入れてもらえたり、ファンの方達に一緒に写真を撮ってくれとせがまれたりと、補欠の僕もスター気分を満喫できました。

 「パレードがあるから集合せよ」みたいな感じで集まっていたら、何と我々の優勝パレードだったのですね。

 体重100キロ以上の大男たちがいろんな種類の山車に乗せられて園内を徐行して、沿道で見学するお客様たちに手を振るわけです。

 これはまたとんでもない経験です。絶対に写真で残すべきだと思った僕は自分のカメラを少し先にいる沿道の人に渡し「撮ってください」と頼む作戦を思いつきました。

 僕の乗った車は幸い低床のトラックだったので、乗り降りは自由にできます。勝手に降りて前方へダッシュ。使えそうな人物を選択して依頼しました。何とか成功です。案の定このシーンの写真はチーム側からもらえなかったので助かりました。

 写真でお分かりのように、他の選手はイヤイヤやらされている感がムンムンですが、僕だけはカメラ目線で笑顔です。戦力として役に立たない分、ファンとマスコミ対応だけでも世界一を狙うプロ選手としての姿勢が一目で分かります。

そして沿道に手を振っていると、いつも恐かったオフェンスコーディネーターが4人のお子さんと「父親」の顔をしてパレード見学を楽しんでいるのを見ました。

 「あれ、コーチもチームの一員なのだからパレードは?」と思いましたが、これはファンのためにやっているので、テレビに出てくるヘッドコーチは必要だが、ガラスの中で作戦を考えている人は不必要なのだと気付きました。少なくとも今日は。

 あれほど自分の仕事に全てをかけていた厳しいコーチは、勝つためには必要だがファンが憧れるスターではないのだということと「プロアスリート」というのはいかに価値が高いのか、ということを気付かされました。

 それはやはり「終わりのある短命な花」だからなのでしょう。コーチには能力不足という壁はあっても、定年すらありませんから、太く短く派手に散るという生き方が当てはまりません。

 自分もいつかは走ることができなくなり、選手ではなくなる日が来るのだと、初めて考えさせられてしまいました。

 これで僕のヨーロッパ1年目は終わり帰国しました。

 この後は、日本で初めてのフル代表を結成した「ジャパンユーロボウル98」に向けた代表の活動です。

 長いNFLE日記でしたので、お忘れの方も多いかと思いますが、この頃日本で僕が所属していたのはサンスター・ファイニーズです。

 代表へはファイニーズの選手として参加します。この時代の代表選考方法は、チーム推薦が主流ではありましたが、強いチームから人数が多く選ばれるという傾向は現在と似ていました。

 前年度ベスト6のファイニーズからは2人だけという不可解な招集ではありました。

 帰国して約1カ月後の7月16日から4泊5日の短い期間ですが、静岡県の施設に集まり合宿です。

 朝からグラウンドや体育館でセットプレーのタイミングなどを合わせます。

 テレビや雑誌で見た面々がズラリと集結しています。関係メンバーの中で僕が間違いなくナンバーワンのフットボールファンですから、うれしくてたまりません。

 スターたちが目の前にいて、一緒に食事や練習をするのです。合宿所なので相部屋です。

4人部屋のルームメートは専修大から松下電工のRB粳田選手、立命館から鹿島建設のRB堀口選手、関西学院から鹿島建設のK/P中筋選手です。ビッグスターすぎて全然落ち着きません。

 また、作戦面では年度末のオールスター戦のように「困った時は自分の判断で」というゆったりしたモノでしたので、ミーティングはそれほど長時間ではありませんでした。

 つまり夜の時間が結構余ってくるのですね。ミーティング終了から翌朝の集合まで9時間ほどあります。そうなると「タンク」ことDLの池之上を誘って街の居酒屋に行き、タンクが「明日も早いし、そろそろ帰ろうよ~」と半泣きで僕に懇願したらお開きとなるのです。

 ロニー・ロット氏に習った「筋肉痛は根性とビールで治す」を実践し、翌日の練習は誰よりもハードにこなすという「タモン式」のフットボールを楽しんでいました。

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