多聞コラム10feb2016_vol,119「ゴリゴリ多聞、自伝を語る50」week6初めて褒められたバルサ戦

5勝0敗で終えたシーズン前半が終わり、すべてのチームが決勝戦の「ワールドボウル」出場へのチャンスが残されている混戦が続いています。

NFLヨーロッパは、NFLのロースター入り当確ラインのアメリカ人ばかりで構成されるいわゆる「NFLのマイナーリーグ」で、ヨーロッパ人の集まりではありません。アメリカでチームを作りヨーロッパ6箇所で興行するリーグです。日本でよく勘違いされるのですが、世界選手権に出てくるヨーロッパナショナルチームのような低いレベルではありません。殆ど全ての選手がNFLのチームに入団したことがあるような組織です。「NFL選手としての条件」をあと僅かに満たしていないだけですので、どの選手が日本のリーグに参加しても吐き気がするほどの活躍を見せることは言うまでもありません。

リーグは全6チームで構成されていますのでホーム5試合とアウェイ5試合で総当たりの合計10試合を戦います。そして僕の所属するラインファイヤーは6戦目も勝利。これで6勝0敗。

次は遠征でスペインです。スペイン旅行。行き先はバルセロナ。もちろん生まれて初めて行く都市です。バルセロナ空港から車で15分ほどの場所にあるホテルに到着し、チームのスタッフからロビーでキーを受け取ります。地元のドイツでは一人一部屋なのですが、遠征時は必ず誰かと相部屋になります。いつもはコーチと一緒なのですが今回はそのコーチの奥さんが来ているのでよく一緒に遊びに行く比較的仲良しなオフェンスラインの兄ちゃんがルームメイトでした。

彼曰く、「お前、一晩中寝ながら屁こきまくりやがってオモロ過ぎて寝られへんかったやんけ!」などと言われました。食堂でもずっとその話をチームメイトにしまくっています。そこまで話題にしてもらっちゃ、自分が偉大な人物になったような気がして非常にいい気分だったことを思い出します。

遠征時はいつもそうですが、今回もかなり良いホテルです。ミーティングも終わり用事もないので試合会場まで歩いて行けるらしいから行けへんか?と誘われて数人で一緒に試合会場へ向けて一晩中屁をこく男の話をしながら森や丘を30分ほど行くと「昔ここでオリンピックがあったよー!」という記念の像や掲示物があったのでわかったのですがそこはバルセロナオリンピックのメイン会場スタジアムでした。

日本だと「試合前日までにスタジアム内に侵入して芝生の状態を見る」のが僕のやり方ですが、外国なので捕まったりした時にどうしようもありませんからここは大人しく我慢。というか芝の状態がどうこう言うような活躍をするわけじゃありませんので無理する必要なし。観光に集中。

ホテルに帰ってくると屋上にプールがあると聞いたので早速遊びに行くとまるっきり無人の貸切です。スペインだけに5月中旬でも日差しはガッツリ。寒いドイツで真っ白になった肌を小麦色にしようとプールサイドで数時間の睡眠です。そして夕方になり一人でバスに乗って街へ出かけて行きました。スペイン語など全く読めもしないのですが、ホテルの名前だけメモしてスペイン散策です。現代と違いネットで検索などが出来ない時代ですし観光本も持っていないので、見どころや名産品など何の情報もなく目的地もわからずとりあえず乗った市バス。景色的に何となく人が多くなってきた所で降車。するとドンピシャ。日本でいうところの渋谷というかミナミと言うか、休暇を楽しむ若者や家族がたくさん居ます。服屋や飲食店も立ち並んでいますが、ドイツマルクをスペインペセタに換金してはいましたがナイキでシューズを見ても一体何円なのか正確に計算がで来ないので買い物はせずバルセロナのどこかもわからない街を1時間ほどブラブラ歩きました。今回のNFLE参加の旅程としては日本からまずドイツに行き、その後アメリカでキャンプ。その後ドイツ。遠征でイングランドとスコットランドへ行き今回のスペイン。ユーロが始まる直前で、各国の予備知識がない上にネット検索できないのでその国の通貨の価値が正確にわからない。チームメイトに尋ねても皆んなの意見がバラバラ。ギリギリで暮らしている僕はなるべくドイツ以外ではお金を使わない。のが得策と考えケチを貫きました。だからお金は持っていても買い物はしませんでした。

裏道に迷い込んだ途端、2人のアウトロー風ヤングマンと肩が衝突。日本語で「キミキミぶつかってきては痛いじゃ無いかー」と言いながら一人の帽子をポンと触って大人のマナーを教育してあげました。すると彼らはスペイン語で怒鳴りながら気弱な僕に絡んで来ます。僕はメガネをしていたのでそっと外して塀の上に置き、魂と魂、拳と拳のぶつかり合いを演じ、2人のヤングマンが疲れてひるんだ隙に日頃の練習で鍛えたダッシュ力で通りに出て人ごみの中へ逃げ込んだのです。ミナミに比べてバルセロナは怖い街なので一人で歩くのは危険だなと思いました。

そのあとビリビリに破れたTシャツで適当なバスに乗ってみたら見事に元のホテルへ到着。晩御飯にキチンと間に合うタイムマネージメントはさすがです僕。食後は短いミーティングで解散。なんとも自由時間の多い遠征です。次の日も朝にミーティングと礼拝があるだけでスケジュールはガラガラ。でも外に遊びに行ってはならない。というお触れが出てしまったので屋上のプールで日光浴です。試合は19時からなので16時にホテルを出れば余裕で間に合います。ですから朝から夕方までずっとプールサイドで寝ていました。おかげで前半身だけ真っ赤っか。背中は真っ白という事態になりました。

バルセロナのチームは「バルセロナドラゴンズ」。ネブラスカ大からドラフト1巡入団のRBローレンスフィリップス、シアトルに居たQBジョンキットナなどが有名どころでしょうか。このチームは地元じゃサッカーに押されそれほど人気が無く、平均1万人程度しか来場しません。この日はたったの7900人だったようです。ゲームデーにはお決まりのスタジアムの周りが大イベントでお祭り騒ぎ。がありません。チームグッズ収集が趣味の僕は会場の周りで何も買えずガッカリです。

ゲームが始まり相手リードのままハーフタイムになりました。ベンチ裏でヘラヘラ談笑している僕にリーグのおっちゃんと審判、そしてヘッドコーチが何か言うてきました。ハーフタイムショウでうるさかったのであまりちゃんと聞こえず3人の顔が怒っているので「マズい!昨日の街の出来事がバレたんか!」とビビりまくるのも束の間「お前のグローブは使えない」と言うてます。

僕はチームから支給されているグローブを使用せず当時日本で大ブームだった緑色の軍手「GRIP」を装着していました。グローブは消耗品な上、非常に貴重品ですから支給されたものを貯めておいて日本に帰ってから使おうという策略です。スポンサーの問題か何かわかりませんが彼らの意見は補欠の僕にとって絶対です。「イエスイエスノープロブレムっすコーチ」とか言って手袋を外します。装着不可の理由はズバリ「色」でした。ドラゴンズのジャージーがグリーンなので同じ色はダメだと。ほんの数プレイしか出場していない僕の装具違反まで見つけるとはさすがNFL

ゲーム内容の方は、先取点を取られリードを許したまま1度も追いつけず敗戦。しかし僕はこの数週間オフェンスの練習に入れてもらっていないにも関わらずこのゲームではブリッツが少なかったためパスのプロテクション要員としてワンバックのRBで出場。日本の何倍も細かくルールが定められたパスコースやプロテクションを何故か1度のミスもなくクリア。試合後のミーティングでは「練習していないタモンが間違わず頑張った」とチームに入って初めて公の場でヘッドコーチに褒められ上機嫌。そしてその夜はコーチと乾杯です。

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