多聞コラム20aug2020_vol,253「タモン式教本34」 試合中に使える武器は「体力」だけ

トレーニングで体のコントロール力を

前回はトレーニングも練習と位置付けて競技に関連させるべきで、パワーや筋肉量をゴールにせず、それを100%使い切れる工夫が必要!といったような事を述べました。

今度はもう少し細かい部分に目を向けてみましょう。例外はもちろんありますが通常の基本的なウエイトトレーニングでは重りをゆっくりと挙げたり下ろしたりして、体に刺激を入れて体を大きく、そして強くします。ウェートトレーニングの上級者になってくると、今どの筋肉をどのように操作し体がどう反応しているか?まで認知できるようになります。このあたりのレベルから「効かせる!」なんて用語が出てきます。真のトレーニングは何キロを何回やったかよりも、自分の狙った場所を狙った通りの負荷をかけられたかどうか?が重要なのですから。それぐらいまでは皆さんご存知だと思います。

で、フットボール用のストレングスとしてトレーニングする私たちランニングバック(RB)やフットボール選手は「筋肉に効かせられた」だけで終われません。前回も述べましたが筋力と筋肉量など全く無意味なのではなく、それだけでは足らないという意味です。

トレーニングや運動中の関節可動域「Range of Motion(レンジ・オブ・モーション)」というのがありますが、ウエイトトレーニングではその筋肉を鍛える為にレンジオブモーションの範囲めいいっぱいで重りを上下させます。可動域にはコレといった決まりはなく、全然動かない人や、見ていて気持ちが悪くなるほどに柔らかい人、色々居ます。

今回のお話ではこの可動域が大きい小さい、つまり関節が柔らかい固いに関係ありません。そこでウェートトレーニングだとわかりづらいかもしれませんので、ストレッチを例にしてみましょう。

ストレッチ、昔風に言うと柔軟体操ですが、これにはいくつかの代表的な方法が世に広まっています。どこかの偉い先生が発案し、より多くの運動関係者の好みに合った方法が生き残っているのでしょう。

例えば、自力でちょうど良いところまで伸ばす。反動をつけて勢いよく伸ばす。他にも、他人や機械に無理やり伸ばされる。など色々な方法がありますが、今回述べたいのは「この伸びている場所への繊細なコントロール」です。どのようなストレッチでも構いませんのでイメージしてみてください。ギューっと伸ばして「きっつー!」と感じる辺りで、外から見てる人には認識できないほどの小さな動きでその部分を動かしてみてください。曲げたり伸ばしたり捻ったり色々な動きを入れてみてください。あんまり上手に操作できないですよね。ザックリした動きしか言う事を聞いてくれないと思います。

これをウエイトトレーニングなどの時にも丁寧に繊細に操作できるようになると、「本当の自分のレンジ・オブ・モーション」を認知して、その範囲内の隅から隅まで自由自在に操作出来るようになります。そうすれば怪我をしなくなる?いえまだ少し足りません。

自身の「レンジ・オブ・モーション」から外に飛び出すような外圧や負荷がかかってしまうと、腱や筋肉は過伸展や断裂したりの大怪我になってしまいますので、「レンジ・オブ・モーション」カッキリで「絶対止める」という技術と癖を身につける必要があります。

つまり、肉体が破綻しかねないような無理をしない技術です。操作可能な部分ではしっかり操作。それ以上には伸びて(動いて)しまわないように絶対に止める。というロックを効かせて全ての「レンジ・オブ・モーション」で「止める操作」ができるようになりましょう。

これがタモン式RB養成所で言うところのスタビリティです。止めなければダメなところで強大な力と技術を使って止める。「体を固める」なんて言い方もします。前回「地面の力を充分に活用し、正確でハードなヒットを」とご説明しましたが、これにプラスして体をカッチカチに固めていたら「強いランニングバックだなあ」と認知されると思います。ま、理屈を知ったからといって簡単に身につけられる事ではありませんので他の技術習得と同様に途方もない反復練習を経ないとダメなのです。何事でもスグに答えを聞きたがるヘタレなヤングの皆さん、いつも努力を要求してすみません。

ゲームや練習で良いプレーをする事と、体に無理をさせるのは同じではありません。体に無茶をさせずに良いプレーをする努力と工夫をする。そして「ここは無茶してでもヤル!」ってシーンでは自分の全てをぶつけなければなりません。その時に甘いレベルでリミッターが作動してしまうのではなく、自分のレッドゾーンはどこからで、どうなれば壊れるのか。を知っておく事が大切です。

もしあなたがその鍛えた肉体やコントロール技術、スタビリティコントロール能力をじゅうぶんに備えていたとしましょう。絶対に勝たねばならない重要なゲームで残り時間わずかで僅差の展開。体力の消耗は両軍とも非常に激しく疲労困憊や緊張もあり脈拍は著しく高まり、筋肉が痙攣しかけています。そして数秒後には戦いが再開します。もちろん敵はあなたの回復を待ってくれません。この時に自分が数年間築いてきた力を全て発揮してこそ「アスリート」と言えるわけです。このような厳しい状況下でもしっかり戦えるようになる為の最低条件として、心肺機能と筋持久力をとにかく鍛えて強くしておかねばなりません。結局のところ試合中に使える武器は「体力」だけなのですから。

最終クウォーターの最後まで元気いっぱいに暴れまくることで敵に疎まがられ、味方に頼りにされるのが「最強RB」です。

フォーメーションの練習だけしていれば良いのは、僕が出場を成し遂げられなかったNFLのオールスターゲーム「PRO BOWL」だけです。残暑厳しいですが、しっかり鍛えてシーズン最後に笑いましょう!

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