多聞コラム15aug2020_vol,252「タモン式教本33」勝てないのはRBであるあなたの責任

その1 トレーニングは能力向上の為だけに

ここ数年、現場で指導する日々を送っている中で選手らがトレーニング中に陥りがちな事項についてお話ししようと思います。

僕の指導対象である若者らはアメリカンフットボールの競技者で、レジャーではなく国内でも最高レベルの試合で勝利する為に練習やトレーニングをしています。同じく選手時代の僕もそうでした。

スポーツや武道でも「心技体」と言うように、競技者や武術家は日々心と技術と体を鍛え、高いレベルの試合に備えています。その中でも今回は最強RBになる為に絶対必要なもののひとつである「体」つまりフィジカルの部分についてのひとつの考え方をご説明いたします。

トレーニングの代表格であるウエイトトレーニングは多くの皆さんが取り組んだ経験がお有りだと思います。最高何キロ挙がったか?この重さで何回挙がったか?腕や脚の太さは何センチになったか? と、仲間や友人と競い合いながら鍛錬に励むのが普通ですよね。しかし、高いレベルで競技が出来るようになってきたら、そのようなライバリティや数値的な目標を気にせず、とにかくこの鍛錬がどうすればフィールドで生きるのか?に集中するのが一流のRBだと思います。

地面に足の裏だけつけて、走る曲がる飛ぶ止まるぶつかるなどの複雑な動きをするのがRBですよね。なので寝転んだり、もたれたりせず、立って行うトレーニング時は特に競技力の向上に直結する事が多いです。

立って行うトレーニングの種類は多くありますが、皆さんがイメージしやすいものですと「肩にバーベルを担いで屈伸運動をするスクワット」というトレーニングメニューを例にします。最初の頃は何キロを何回出来るか?が最重要項目ですよね。この初級中級時代を経て、ある程度の筋力と技術が備えられなければ高いレベルの試合で活躍も何もありませんので、そこに至っていない人はまず中級者越えを目指してボディビルディングしてください。

それ以上の人は、競技の為にマトを絞った考え方でトレーニングしてこそいわゆる「ストレングストレーニング」であると考えましょう。フットボールの為のストレングスです。ある程度の体を作るだとか、体力向上を目指すなどというレベルでも大層にストレングストレーニングと呼んでしまうと幅が広がり過ぎてしまうので、今回は高いレベルだけの事としてください。

でスクワットですが、足の裏をどのような状態にしておくのか? 足首はどこまで曲げるのか? スネはどこまで傾けるのか? 膝はどこに向けてどれだけ曲げるのか? 股関節は? 背骨は? 腕は? 首の角度は? 目線は? 呼吸は? 他にも多々ありますがこんな事はウエートトレーニング教本に「理想のスクワット」のやり方が書いてあります。Youtubeでも多くのトレーナーらが紹介しているものがあります。

高いレベルを目指すRBならば、体重や体型に関係なく、力は強い方が良いですし筋肉は大きい方が良いでしょう。でもパワーリフティング選手やボディビル選手ではなく「フットボール選手」ですから、重い物を挙げる事が出来ても太く美しい筋肉を備えていても、まだ足りません。

その強くて太くて美しい筋肉を、敵選手に対して効果的に使用できてこそ意味があります。そしてシーズンを通して怪我せずにフルに能力を出力できるようになるのが最強を目指すRBとしてのストレングスになるのです。

スクワットでバーベルを使う理由は、通常の筋肉や腱を鍛える理論で100%正解です。地面に着いている足の裏から地面の力を充分に活用し、敵選手がどの角度に居ても正確でハードでなヒットが出来るかどうか。タックルに来たディフェンダーを一撃で跳ね飛ばして叩きのめすのがRBとしての強さの象徴であり証明ですので、パワーを養うトレーニング時にそういった「水平方向」のような動きを自分の中で正しく換算し、天井方向に向けていたスクワットの作用を、どの向きにでも力を発揮できるように考えに考える。

この「換算」が出来るようになれば、フィールドでパワフルでハードなヒットを容易に表現できるようになります。でもこれはとても難しいんです。僕の場合は根気よく時間をかける必要がありました。

スクワット時に、自分が最も立ち上がりやすいやり方と、力の入りづらいやり方、何度もやって比較すれば、同じ動きでもほんの少し関節の角度を変えるだけで力の入り方が違う事がわかってきます。力が入りやすいと入りづらい。自分の体に起こるこの関係性をプレー中のほとんどの動きで理解してマスターすれば、自分の元々持っている能力をよりたくさん出力する事が出来るのです。

立ってやるウエートトレーニングで、さきほどの「やりやすい方法」「やりづらい方法」など色々試しながら、関節や筋肉の動きを理解する。わかりにくいことは東洋医学や西洋医学に関係なくそれらの「先生」に聞いたり、フットボールコーチに聞いたり、トレーニングコーチに聞いたり、自分で調べたりして理解を深める努力をする。

重たいバーベルを挙上する事が我々の目的ではありません。大きくて美しい筋肉を身につける事が目的ではありません。全ては試合で最大のパフォーマンスを発揮する為なのです。友達と挙上回数や重量を競うあまり、ついつい自分の体に負担が少なくなるようにトレーニングしてしまっていませんか?毎日がコンテストなのだと暗示をかけて全力で倒れそうになるほど真剣にトレーニングするのは良い事ですが、そのトレーニングは本当に自分の競技力向上に向かっていますか?多くの皆さんが陥りがちな落とし穴ですので、是非注意しながらトレーニングをしていってください。

信頼できるコーチと仲間の中でプレーしているのに勝てないのは、RBであるあなたの責任なのです。作戦や運が勝利に結びつくのは、RBが今回のような細かい事まで徹底的に努力出来た後に神様がプレゼントしてくれるのです。

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