ここ数年、指導者として活動していますが対象となる選手や組織の殆どがトップのリーグに所属しており、皆の目標である「日本一」がその年度のうちに達成できる位置に居ます。僕はその中にいて「うん。日本一になるには十分な準備ができている。あとは神のみぞ知るだな」と思った事はたったの一度もありません。常に「こんなんじゃ勝てない」と感じています。
当然、組織全部で真剣に本気の全力で取り組んでいます。勝負の世界ですから勝つこともあれば負けることもあるでしょう。直接指導している選手たちも、サボったりするわけでもなく一生懸命打ち込んでいます。キツいトレーニングや練習、長時間のミーティングも、黙ってこなします。
でも、僕はいつも上記のように「こんなんじゃ勝てない」と感じています。そう思う理由は「足らないことが色々ある」と感じているからなんです。365日24時間、フットボールで勝利する為に、出来るようになっておかねばならない事、理解しておかなければならない事、やらなければならない事をキッチリやる事、やってはいけない事を絶対しない事、をズーーーっと遵守していないとダメだと思っているのです。個人の生活やトレーニングに練習はもちろん全体でも同様です。
でも、どうして僕はそんなに厳しいのでしょう?確かに厳しすぎます。その様子を日頃から見ている妻がある時こう言いました。「アンタは到底日本一や世界に出られるワケのない底辺の底辺からスタートして、頂上までの距離が遠すぎてわかってなかったんや。だからとにかく前に進まな死んでしまう思ってたから必死に出来たんや。でもアンタが教えてる子らは、日本一なんかスグ手の届く場所にあるんや。だからアンタが選手の頃と同じ熱量でやれる筈ないんや!」
これには参りました。わかりきっていた事だし、自分はそのような底辺から海外プロや日本選手権までの道程をどうやって克服してきたか?を前面に出して、独自のフットボール論をレクチャーしているのです。ですから有名選手になりたくて、日本一になりたくて渇望していた自分の「熱い思い」「努力の量」が正しく、タイトルが欲しい者は「これぐらいやっておくべきなのだ!」と決めつけていたのです。皆が当時の自分と同じ思いで取り組んでいると考えていたのです。これはベンチプレスの記録を二百キロにしろ!とかの具体的な数値ではなく、行動の全てを指します。
その行動とはチームで集まった活動時、僕の中で数多くのルールがあります。例えばそれが1000個あるとしましょう。このルールを守っている数が多いチームほど強いのです。
年間で1勝も出来なかった大学時代、社会人2部で入れ替え戦まで行くチーム、関西リーグで準優勝するチーム、ファイナル4まで行くチーム、ライスボウルに勝つチーム、プレーオフに出られないチーム、パールボウルに勝つチーム、そして前年度スーパーボウル出場したNFLチーム、NFLヨーロッパで優勝したチームと優勝しなかったチーム運営を中から虎視淡々と見てきた僕だからこそ出来る「採点」です。
つまりこれは統計なだけで僕の判断ではないのです。時代や人の質は変わってきていますが、我々のやっている競技はアメリカンフットボールであり、基準値は全てNFLです。これは絶対に変わりません。キャンプの様子は毎日のようにテレビやネットで見ていますがこの数十年で本質は何も変わっていません。
1000個あるルール、NFLチームは数秒間のシーンでも遵守されています。日本の強豪チームでも全然と言えるほど守られていないのがほとんどです。ですから絶対的に強いと弱いは比例するのです。これがわかんない人が、わかってるチームに絶対勝てない理由です。その中身をここでは教えられませんけどね。
話を戻しまして、小学生の時から親に連れられるわけではなく、自分だけで学生や社会人の試合観戦に出かけ、甲子園ボウルをテレビ観戦したり、そしてそのVTRを毎日毎日テープの画質がガタガタになるまで見ては「いつか自分もこのような舞台で暴れたい!」と思って長い無名時代を過ごし、その夢が叶ったのが30歳前後です。それに引き換え、フットボールの事はそれほど知らずに大学に入り甲子園ボウルに帯同してサイドラインに立てば日本一などスグそこにあるわけです。甲子園への夢が破れて(破れていなくても)社会人でプレーするにしても、外国人QB次第であっという間に夢が叶う可能性があるのです。そりゃあ死ぬ気で365日を何年間も生きるなんてやってられないでしょう。
僕が選手時代にはそんな中途半端な連中に負けられるか。こちとらアメフトへの思いが桁違いなんだ!と強い信念がありました。挫けそうな時もその思いが強かったので耐えることも出来ました。幸い、直々に指導している選手らは僕のことを信じ、教わることの全てを学びにして頑張ってくれています。
才能にあふれたスター選手ではありませんので、ひとりひとりの資質やポテンシャルからすればそろそろレッドゾーンに入ってしまいます。早々に限界が来てしまうかもしれません。しかし若者というのは急に器の大きさを広く深くしてくる可能性がありますしこちらが諦める事はありません。
どれだけレッドゾーン近くまでぶん回していようが、まだまだ僕の求める技量の合格ラインには届いていおりませんし、努力の質や量も残念ながら足りていません。どれぐらい足りないか?あと倍は出来るんじゃ無いかな?なんて思っています。人間って強いですからね。(笑)
