ランニングバックスペシャリストとして現場に復帰し丸々2年になりそうです。このコラムのシリーズで「最強RBへの道(タモン式教本)」というものを書かせて頂いたのが今から4年ほど前です。現場から離れて10年近くが経っていますし時代錯誤な根性論ばかりではありますが、現代にも使える部分が僅かにあるので現場での2年はその「根性論」を中心にして選手らと関わってきました。
しかし、ランニングバックスペシャリストとしては、ただ選手を相手に自分の知識をブチまけたら仕事が終わる訳ではありません。対象者、つまり選手が上達して敵を倒すまでが仕事です。
大学3年生でコーチも先輩も居ないチームでフットボールを始めた時から、上級者として業界から認められるようになった過程の中で、情報収拾のためにいろんなことにアンテナを張って周りを凝視していました。
自分で試して成功した事と失敗に終わった事、当時の上級者らがどうやってたのか、勝てなかったチームは何がダメだったのか、良いコーチとそうでもないコーチ、良い練習と悪い練習、有効な時間と無駄な時間などなど、フットボールの中で起こること全てを観察し、今の自分に何ができそうか?をいつも自分に投げかけていました。
初級者の頃はイキがって自分より下手な選手にアレコレと思いつく限りに指図していばり散らしていただけでした。皆んなより少し強かっただけで「何をすれば強くなる」をサッパリ知らない時代です。全部が実験でした。
そして中級者の頃はチームのレベルについて行くのが精一杯で、どうにかして上級者レベルに力が付かないかと必死で模索していました。あらゆる角度からの栄養やトレーニング方法を勉強し、ボディビルやパワー系の講習会などにも可能な限り顔を出し、同時に陸上(100m走)の訓練も受けたりと、自分の選手としてのレベルや価値を上げる為に全てのエネルギーを使っていました。
まだまだ20代前半から中盤でしたので、ゴールの時期に期限はありません。諦めるのが先か、優勝リングが先か。だけのハナシです。
しかし!現在僕が指導している大学生たちには卒業してしまうという期限があり「優勝するまで続けていれば必ず優勝できる」という超ポジティブ思考は通用しません。マグレでも何でも良いからとにかく優勝したいという目標があります。彼らは4年後5年後ではだめなのです。
そうなると急いで仕上げる必要があります。甲子園ボウルで戦う敵チームを「日本2位」に蹴落としてしまえるような選手になる為には、ハードな練習に耐え得る強い肉体と精神力を備えねばなりません。どうせ最終的にはハードな練習をしなければならないし、それに耐えられないなら結局はふるい落とされ淘汰されるのですが、スポーツ界も社会も最初から何でもこなせる才能溢れたトップスターは1割も存在しません。イキナリのハードな練習では何も培えず枯れてしまうだけです。それは今も昔も同じです。
ハードな練習やハードなプレーでも怪我せずチャンピオンシップまで闘い抜ける「戦士なランニングバック(RB)」を育てるには、何はともあれ基礎体力作りです。絶対的な筋量と筋力にスピードは当然ながら、怪我しそうなアクシデント中に上手く逃れるセンスと運、何が何でもやり抜いて目標を達成してやるという強い気概など、色々備えて行かねばなりません。
この地盤が出来上がれば、RBとして本当に必要なパワーとスピードを養う訓練に進めます。安定した体力があるのでメチャクチャ重いものを持ち上げたり、100回200回の反復練習にも耐えられますからメキメキ上達します。するはずです。
その強くなったパワーを敵と地面に安定して伝える事が出来るようになれば次はスピードを出す訓練です。邪魔がいない中での単純な動きでスピードが出せるようになればいよいよ次はRBとしての技術に応用していきます。特にここからは僕にしか指導できない領域になってくるので、12月までキチンと教えさせてくれればどうにかなると目論んでます。
途中に怪我や病気で離脱、技術や頭脳が付いて来ず2軍に落ちて練習に入れない、その他想像も出来ないようなあらゆるトラブルが待ち受けていますが全てをクリアしてシーズンの最初から最後まで最前線で戦い抜けたら自ずとトロフィーは転がり込んでくるんとちゃうかなー。と考えています。とにかく僕が彼らの「やる気と能力と運」を信じる。そして僕は自分の現役時代と同じ熱量でやれる事を全部ヤル。コーチなどこれしか出来ないのですからとても歯痒いですが、とにかく優勝してもらいたいなと思っています。
そして将来は社会人リーグで活躍して本当の意味での「イチバンの選手」になれるような基盤を僕と一緒に固めていきたいと考えています。
社会人でも学生でも同じですが、選手と付き合えば付き合うほどに個人個人の特徴が見えて来ています。十人十色、まさしくその通りです。それぞれの選手にとって最良(または最良に近い)の訓練法を見出すまで、運動シーンや体の特徴を観察するのは当然です。それは簡単に区別がつくようになりますが、性格や考え方は心を開いてくれないと、うわべしか見えません。ご存知の方はわかるでしょうけども僕は性格に難があり、僕に心を開かない人はこの日本にとても多く存在します。
しかし、性格に難があるとはいえ僕がチームのコーチとして存在している以上、僕に立ち向かって来るか、僕を退部させなければ自分が不利になります。僕は誰にでも好かれる性質ではないと自分で理解していますので、向き合ってくれる人を大切にする習性もあります。僕程度の壁も越えられないような人が日本一を目指している筋骨隆々の守備選手を踏み潰す事など絶対に出来ないので、サッサと諦めるのが賢明だと思います。嫌なことから逃げていてはみんなが狙っているトロフィーを獲る事など不可能でしょう。ヤルかヤメるかしかありませんね。
