多聞コラム7may2014_vol,38「タモン式教本3」

【ファンブルを防ぐ】

ファンブルは味方を敗北に追い込んでしまう、決してやってはいけない大きなミスのひとつですが、残念ながらどんな殿堂入りのトッププロでも選手をしている限りは何度も何度もやってしまう事です。しかしボールキャリアーの努力だけでファンブルが完全に無くなるのであればこのルールが無くなるワケですから防ぐのは不可能なのです。その証拠に世界最高レベルでフットボールをしているNFLとしても数%の確率で起こる「オモシロシーン」としてルールを存続させているワケです。

しかし、落としてしまう事は仕方ありませんが、落とさない為に日頃からやっておかねばならない事は沢山あります。これをどれだけやっているかがチームへの忠誠心を表します。落とすのが、又は落とされるのがイヤなら究極の予防方法は「フットボールを辞める」「試合に出ない」「八百長する」「ラインになる」「ボールを持たない」「果敢に攻めず早めにニーダウンする」「スグにニーダウンする」です。しかしどうしてもコレがイヤならやる事はイッパイあります。それでもやっぱり落としてしまう事もあるので、やれるだけ準備はやっておくのがオトコの道です。

そもそものボールを握るチカラ、つまりは腕力ですね。主に前腕と握力の強化。そしてボールを正しい位置で持つクセ付け、等色々とあります。もしアメリカ人との対戦があるならば前腕の打撲に強くないといけません。何しろ彼らの強い腕力でボール付近をゴンゴンと何人にも寄ってたかって何度も何度もボールを持った回数だけ殴られるからです。やられ過ぎるとゲームの後半にはボールを持つ事すら出来なくなるほどです。骨を折られない為にもベンチプレス挙上200kgくらいは出来る腕力をつけておかねば恥ずかしくて米国人のプロとは戦えません。

そして体力以外にもファンブルを防ぐ方法はあります。これはタックルをされてスッカーンと吹っ飛んでるボールキャリアーが冒している「相手を見ていない」という滑稽なミスに象徴されます。いわゆる死角からのタックルですね。死角とは見えていない角度の事です。ボールを持っている選手を発見した守備選手はあらゆる角度から(キャリアーから見ると前から横から斜めから死角から)猛烈な速度で迫ってきます。どこから何人に当たられてもボールを両手で抱えて君のパワーと根性でドーンと突っ込んであと2ヤード進めばいいんだ!という闘志を2流のコーチから学んだ経験があると思いますがそれだけではダメです。全てのタックラーの動きを見て、元々ドコに居た奴が時速何キロで自分に対してどんな角度でどの高さにヒットして来るのか? を解析せねばなりません。全部見るのです。見えないモノを見るにはどうすればいいか?顔を向けて見るのです。目玉を動かして見るのです。何しろ見るのです。敵を捜すのです。僕はこれをパトロールと呼んでいます。

最初は一番手前の1人しか見えません。しかし、自分の練習だけでなく他人の練習時にも「見る」訓練をせよと前回書きましたが、ココで役に立ってきます。自分がしんどい思いせずとも「見るチカラ」を養えるのです。息も切らさず汗もかかずに上手くなる。これをせずに水を飲んだり談笑するのはヘタレのカスです。訓練をしていく事により2人が見え、3人が見えます。そうなると死角からタックルされて吹っ飛ばされるという事が殆ど起こらなくなります。上手いランナーと下手なランナーはタックルのされ方が違うので今度ぜひ見比べてみてください。

つまり見えない角度からのタックルをされるとファンブルの可能性が飛躍的に上がってしまうので、RBは死角を減らす努力を怠るとチームへの裏切り行為になります。11人全ての動きを把握していれば死角から急にタックルされる事はありません。アメリカでは良いプレーをした後に皆から労いの言葉で「good job」などと声をかけられる事がありますが、「Good eyes」というのもあります。「オマエよーあれ見えたな!」です。グッドアイズはRBにとって非常に重要な能力ですのでアキレス腱切れても膝が折れても別の場所でリハビリなんてしていないで練習を死ぬ気で見学しましょう。見えなきゃ何にも始まりませんよ!あとは運です!

ボールを守り過ぎたら活躍出来ません。しかしボールを粗末に扱っていると味方から信用されません。

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