▽センパイやコーチ
社会人チームだと、オールジャパン級や上級者面の偉そうにしているセンパイが存在し、真剣に上手くなろうとガムシャラにドタバタと頑張るヘタクソに対して単なるイジワルで「お前、何を必死でやってんだよ!コッチが怪我したらどうするんだよ!」などと言って邪魔をして来る事もありますが、そんな事を気にしていては決してそいつらを追い越す事は出来ません。その証拠に、アサヒ飲料に入ってきた新人の平本くんは練習態度が悪く、注意されても仏頂面で返事もしない、と常にマイペースを貫き、数年後には日本最強のラインマンになりました。コレは僕のような年長者のイジワルに見向きもせず、強い意志で自分の役割を理解し目標に向かって努力を遂行し続けたからなのです。それが出来るかどうかも体格や運動神経などと同じく「才能」に含まれます。
また、趣味で後輩に教えに来ているセンパイやコーチも色々と問題を生みます。統率が上手い人、技術説明が上手い人、作戦に長けた人、気合いの人、お金持ちの人、優しい人、無能な人、と色々居ます。その問題とは、その人の感覚でモノを言う時です。特に「思いっきり」や「全力」「少し抜く」「もうちょっと」といった曖昧な感覚を指導する時にズレが生じます。殆どのコーチは言いたい事を言うだけで、ヘタクソ選手側の「どう質問すればいいかわかんない」「どこがわかれへんかがそもそもわからんねん」「何故かわからんけど上手くいけへんどうしたらええねん」というモヤモヤな気持ちを理解してくれません。そのくせ練習後や試合後に「ちゃんと教えたのにオマエが出来へんかっただけや」「教えた通りやれへんからや」と言います。
こういうコーチは、教えると言うのは教えられた人が出来るようになるまで。だという大前提をわかっていません。オノレの知識をぶん投げてれば「教えている」と思っている機械のようなコーチに習っていても上手くなりません。
初心者指導は出来ても、中級者や上級者をもうワンステップ上に導く事が出来ないコーチも困ります。ボウルゲームで活躍出来るようになりたい選手や、選手を上級者にしたい指導者は、山ほどある自分の知らない情報を全て受け入れて原理や理屈を噛み砕き、実行してみて問題点を見つけ出し解決し改善してまた実行。少ない情報しか得られなかった昔の情報、ましてや母校のセンパイから受けた知識だけでは足りません。日本人に合う合わないの問題では無く、情報はNFLから引き出すのがベストだと思います。いやいや、プロは凄過ぎて手本にならん。なんて言うセンパイは多いですが、そういう人が自分のチームに居たらとても運が悪いです。説得して考えを改めて貰えば良いと思います。しかし真似てはいけないNFL選手のプレーも多くあるので分別する判断力は必要です。
スポーツ選手として成功するには色んな要素があります。しかし、フットボールに関してはコーチとの関係性がモノ凄く影響を及ぼします。良いコーチに巡り会えるかどうかは運もありますが、選手側が選ぶ事も出来ると思います。NFLのスーパースターには大学時代にコーチとソリが合わずに転校した人や、プロになってから移籍する人も多く居ます。逆にコーチがロクでもなくて潰れて行った選手も星の数ほど居ると思います。自分にはどんなコーチが合うのか、どんなコーチが自分を檜舞台に上げてくれるのか? 身体も鍛えねばなりませんが、やれるだけの事をやった上で自分の将来をよく考える事も大切です。才能はあっても教える人が悪いが為にサッパリ上達せず試合に出場出来なければ全てが無になってしまいます。僕の場合は5つのビッグチームに所属した経験がありますが、そのうちの3つでは実力不足の為、チームから相手にされませんでした。しかし、幸いな事に最後に所属したアサヒ飲料で藤田智さんという、僕にとって何が何でも絶対的に信頼出来る世界最高のコーチに出会い、大きなトロフィーをいくつも獲得させて貰えました。同じ人間でも、チームとコーチが変われば結果が大きく変わるという証拠だと思います。選手の皆さんが良いコーチに巡り会える事を心から望みます。しっかり選択してください。
今回のお話はRBに限らない事ですが、良いコーチの居る良いチームに所属していなければ最強のRBにはなれません。


