多聞コラムVol,289「タモン式教本49」役割と責任の違い

タモンズスタイル30oct2022

 僕がコーチしている電通キャタピラーズランニングバックはペンタオーシャンパイレーツとの全勝同士の対決を迎えるにあたり、我が家で強化合宿を敢行し敵味方の分析において(学生時代を含め)過去最高に理解を深めた状態でゲームデーに臨みました。

しかし結果はランニングバック自身がこじ開けタックルを弾き飛ばし、会場が湧くような活躍は出来ませんでした。味方のオフェンスラインやブロッカーが開けてくれた場所しか走らせてもらえませんでした。また、パスのプロテクションでも何度となくQBサックされてしまい電通オフェンスを窮地に追い込んでしまう結果に終わり、記録にも記憶にも残らない仕事をしに行っただけにとどまってしまいました。幸い試合結果は10-10の引き分けとなりかろうじて首位はキープ出来ましたけどね。

とても重要なゲームがある時期とは予測できずに以前から宴席の約束をしていて合宿をほんの数時間で帰ってしまったレギュラー選手の活躍量がチームからの期待を下回ったのが敗因と僕は考えます。さてこれはどういう意味なのか?今回はそういう責任の部分にフォーカスしてみたいと思います。タモン式ランニングバック養成所は、ランニングバックに必要なスキルやテクニックを指導するのは当然ですが、エースとして、リーダーとして、などの精神論も人によっては注入していますのでね。

選手たちとチームの夏合宿よりも多くの時間を共にして強く感じました。ゲームでは良い部分も悪い部分もそれなりにありました。まあこれまで関わった多くの選手らにある程度共通し、選手時代の僕とは違うなーというお話になります。

控えめなのか、遠慮がちなのか、自信がないのか、選手たちは自分が主役である事を忘れているように思うのです。実力が足らないから、先週失敗したから、有名大学を出ていないから、足が早くないから、怪我から復帰したばかりだから、理由や言い分は人の数だけあるでしょう。

なにも「チャンピオンシップゲームやリーグの主役を張れ!」と言うのではありません。自分が数十名(時には200名近い)のなかに紛れたほんの1人に過ぎない。という事を傘に着て責任を果たすという事からも逃げようとしているのではないか。しっかり自信と信念を持って現役生活に取り組むべきだという意味です。

肝心な時役に立たない割に口だけは達者な人には違和感を抱きますしあまり好きにはなれませんが、どうすべきかがわかっている分、口だけの人も自分ならではの責任を全うしているように思います。何も言わず何もしない人より随分マシなのは間違いありません。

チームから与えられたアサイメントをそれなりに実行すれば良いのだ。こう思っているだけでは自分が主役だと思っていない証拠でしょう。作戦で与えられるアサイメントは「最低でもこれだけはやれ」という命令であり、チームのプラスになることは他に何があるのか、何が出来そうか?!を全てのプレーで全てのシーンで考え続けてそれを遂行しチームに利益をもたらすのが「主役」でありプレーヤーとしての責任でしょう。

練習時でもそうです。順番が回って来た時だけそれなりにプレーする。ドリルをこなす。殆どの人がそうだと思いますが、主役でなければならないと重圧を背負ってる人は自分がプレーする時は全力で周りに自分を魅せます。常に自分のパフォーマンスを発表しています。プレーしていない時もチーム活動の全てに目を向け叱咤激励したり声を掛けたり、自分の役割を忘れる時間など1秒もありません。「あーしんど」となる瞬間も自分が主役であることを認識しての振る舞いをしますから周りから見れば油断している感じにはなりません。同じポジションは当然ながら、スポーツ選手としての鑑であるべきなのです。

試合会場でも同様です。自チームの観客は当然ながら敵側の観客もマスコミも含め敵チームの関係者など会場に居る全員がずーっと自分だけを見ているんだと思って行動し、たち振る舞うのが「主役」という自覚がある人の責任です。どこからどんな風に見られているのか、それをどう思われるのかを全部見通してファッションや持ち物を選択し、一挙手一投足の全てがチームの利益につながる為だけに行動する。そうすれば試合会場での公開練習で何人もが連続で落球したりなど絶対に無いでしょう。

自分は周りから見ている野次馬側だと勘違いしてませんか。そりゃ野次馬のひとりひとりを見続けている人なんて存在しませんから「見られている」なんて考えないでしょう。でもそれで本当に構わないのでしょうか?ボールを持って派手に得点する係だから目立つ、ボールを持たないから目立たない。そんなしょうもない話ではありません。

チーム競技だから自分が少しぐらい緊張感が足らなくても周りの皆んながやってくれる。自分もそうだから皆んなで助け合えるのがチーム競技の良いところなんだ。と思っている人が1人でも多い組織は勝ち残れないでしょう。でも、このコラムの読者の全員が本気の本気でやっている競技者ではありませんし、程度の配分はそれぞれの組織で違ってきて良いと思います。幸いと言いますか運悪くと言いますか、電通キャタピラーズもそうですし僕がここ近年関わったチームは全てレジャーチームではなく本気で強くなっていこうとしているチームです。

そんな組織ではレベルの低い野次馬や傍観者らはそのうち淘汰されてしまうでしょうけれど、せっかく僕が熱く深く指導しているランニングバック陣には、実力が高い低い、他人からの評価が高い低い、経験が浅い豊か、そんなことには関係なく本人が「主役」であることに自信をもち、それに相応しい自覚を持って努力なりをしていけば良いんです。まずは高い当事者意識を持ち、他人任せにしない。自身の行動全てがチームの利益になっているかを自問自答し、修正を重ねていく。しんどいからと楽をしていないか?自分にも他人にも厳しく出来ているか?皆が自分の振る舞いを見て元気が出るかそうで無いかの分かれ目になっていると認識していますか?それが積もり積もってスコアボードに得点差となるという図式を理解していますか?

僕にとってフットボールの主役とはこんな感じなんです。まあこんなのしんどいですわね。

手足が長い、顔がイケてる、そんなの全く関係ありません。肝心なところで会場の誰もが度肝を抜く仕事を成し遂げるかどうか。それが出来る選手にならなければいけないと四六時中思っているか。こんなマインドで僕の指導を受けてくれれば日本のリーグくらいスグに支配できるようになれます。

弱気、ヘタレ、痛がり、用事が多い、そんな人への指導はお断りしており申し訳ありません。

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