僕の所属する電通キャタピラーズの活動は週に1度です。シーズン中の現在では2週に1度の頻度でゲームがあるので、月に2度の練習で試合に臨んでいることになります。ミーティングなどもコロナのおかげでリモートする環境が担保されたので、週末の活動日でなくとも開催は可能になりましたが、なかなかそれだけでは選手らが成果を得られるようなカリキュラムを構築出来ません。
僕がリーグのレベルより自分の能力が低かった頃に所属していた「サンスターファイニーズ」では「松下電工」と「マイカル」といった強豪とのゲーム前には「電工合宿」「マイカル合宿」と銘打ち、グランドからほど近い会社の保養施設に全員が宿泊し、週末の2泊3日はミニキャンプになります。金曜の夜に練習し、土日はそれぞれ朝夕の2度練習で計5回のグランド練習とその合間にはもちろんミーティングがありました。
今では考えられない事ですが、食事代と交通費は出席日数によって現金で配給され、グランドに来る交通費も高速代やガソリン代を排気量別で全員が貰っていました。因みに防具や小物なども全て買ってもらえますので金額は違いますがNFLと同じですね。
話を戻しまして、そもそも土日プラス平日夜1回の週に3度の練習があり、ボウルゲームを賑わせていたような有名選手らをお手本として、上達を目論む僕としては非常に良い条件だったわけです。しかしミーティングも練習も難しすぎて大変だったことを思い出します(笑)
しかし現在の月に2度練習ではさすがに指導の進行が順調にいかず色々な面で頓挫してきました。で、思いつきました。時間の許せる人だけで強化合宿をすれば良いんだと。
とは言ってもこれまでも時間が許す限りの指導を試みてきましたが、コーチになって以来最も時間が少ないチームなので細かいことまでは手が届いていませんでした。1度の練習で出来ることには限りがありますし、重要すぎることから順にこなしていかざるを得ませんので触っていない部分をこの合宿で紹介してみようと思いました。初めて聞いたことをその瞬間に自分のものにしてパパパッと武器に変えることが難しいのだとここ数年で僕も学習しましたので「指導」とせず「紹介」と表現してみました。
サンスターファイニーズ同様、金曜の夜から開始。土曜日を丸々使い、日曜は通常の練習に加えて練習後のミーティングも夜遅くまで3日分をみっちり反省するというスケジュールです。
合宿名は「タモン式RB脳みそ強化合宿」です。内容としては
①ランニングバック独自の相手守備のスカウティング方法
②守備隊形別の走路判断方法
③キックオフカバー
④キックオフリターナー
⑤優勝決定戦直前の雰囲気を味わう
が大きなテーマでした。
まず①のスカウティング方法ですが、守備の作戦そのものを予測したり予想したりというコーディネーター風なスカウティングとは少し違い、対象チームの過去ゲームを見て、敵と味方の実際の位置関係を正確に縮尺して書き出すという作業です。距離ですね。「誰がどう動く」というフットボールの作戦で配布されるいつもの「絵」に似ているのですが、あれはライン同士などの縮尺がザックリで、現実的な位置関係は示されていません。だいたいです。目安程度です。
しかし僕らが知りたい情報は、自チームのオフェンスラインらがどういう距離感で並び、敵がそれに対してどこに構えているのかを細かく正確に書き出します。そうすると、プレーが始まってから出来ることや出来ないこと、間に合いそうかそうで無さそうか、色々シュミレーションできます。縮尺が適当だと、わからない事も見えてくるのです。ランにもパスにも全てに有効です。
②では相手は何十種の隊形を用いてくるかわかりません。自分達の攻撃方法や種類に合わせたそのプレー別で判断基準を変化させるというものです。自分のランプレーに対して2秒以内に接触してくる敵以外を先に割り出しておき、そっちは目視せず推察し2秒以内に接触の可能性が高い敵を見る順序や考え方を憶えます。2秒というのはおおよそですが、実際には位置関係で決まります。
③キックオフのカバーはランニングバックにとって最も得意なキッキングゲームでなければなりません。前向きに強く早く走り速度のついた状態のままで方向を変えたり敵に接触することを練習しているのはランニングバックだけですから。敵の避け方やフィールドの見方などを紹介しました。
④リターナーもランニングバックとして走力があるとチームが太鼓判を押してくれているわけですから、期待に応える必要があります。心の置き所と覚悟の決め方が大切です。
⑤優勝決定戦を最初から最後までぜんぜん緊張せず気合いも特別いれず、ひょうひょうと活躍できる人を僕はテレビですら見たことがありません。ですから大抵の人は「勝って優勝トロフィーをもらうんだ!」とガーっとチカラがはいってるものでしょう。で、そのテンションで練習してないと結局調子が狂ってしまって、場馴れしてる人に勝てないんですよね。普段からハードな気持ちで練習しておいて、ゲームは楽しむ。の法則ですね。
これだけではないのですが、普段の時間がない中では辿り着けないマニアックなランニングバック術の色々を紹介できたと思います。まあでも初めて聞いて試したことがいきなりゲームで効果が出るってめっちゃ難しいんです。これからリーグ後半戦ですが、自分自身で成果を少しでも感じることができれば自信に繋がっていくんですけどね。
ミニキャンプが終わって、参加者からのフィードバックを貰いました。
まあ皆さん素晴らしい学歴と学力をお持ちで、賢さでは僕などとても太刀打ち出来ないレベルの人たちですので、乱雑に紹介した事柄を綺麗にまとめてくれていました。内容もおおよそは理解してくれているようで開催した甲斐はあったように感じます。


