多聞コラムVol,278「タモン式教本44」強い走りとは

僕が普段指導しているのはランニングバックの基礎技術と考え方、心構えなどです。どんな事でも「出来ない」のならば「出来るようになる為」に「出来るようになるまで」努力工夫しなければなりませんよね。これは時代が変わろうとも不変の事実であり別に僕が決めたことではありません。(子供の頃、自転車に乗れなかった時と同じで乗れるようになるまで練習したと思います)

悩み多き選手らは、出来ない事が出来るようになるっていう快感や方法をフットボールに限らずどれほど理解や経験しているんだろうな?と、ふと思い選手らにこんな話をしました。

“目的を達成する為には”と検索しいくつかを読んでみますと、素晴らしい手法が無限に書いてありました。ワールドカップで優勝するにはどうすれば良いか? 英語のテストで高得点を取るにはどうすれば良いか?といったそれぞれの目標に向かっていく方法が紹介されていました。

「そりゃそうだ!」と納得いくことばかりで、とても関心しました。

有名になるとかNFLでスターになるとかの夢を持ち、ランニングバックとして技術を高め成長していくという目標を立て、あとはどうやって進めていくかですよね。それはまあそうなんですけど、今までちゃんとした基礎を習わず自己流である程度自信をつけたり結果を出した人でも、殆どの日本人RBには出来ない事があります。

それは強い走りです。タックルに負けない強い走りです。多くのRBは敵から逃走するか捨て身でぶち当たるかで戦ってきており、場所というか土俵というかレベルが高くなればだんだん通用しなくなる走りです。足が速いと中高生レベルの守備では触られもせずタッチダウン出来るでしょう。大学でもかなり高いレベルのリーグでなければ激突などせずヒラリヒラリと蝶のように舞った気で相手を避けてこれたかもしれません。また避ける気なくとにかく姿勢を低くして当たって行けばある程度は進めると思います。

でもどこかで自分の限界がきます。その限界が来なかった人が最高峰NFLで活躍している人らですね。ですから現在日本でプレーしている人らは限界がきている人だとお見受けしています。もちろん現役バリバリで自信満々だった過去の僕自身も限界という壁に苛まれていました。

スピードがあり、逃げ足が速いことはランニングバックとして必要不可欠な性能ですよね。セットプレーを完璧なものにするインテリジェンスも必要でしょうし、パスを捕球する能力も高くなければなりません。こちらに関してはまあ殆どの皆さんはある程度出来ているでしょう。

問題は強い走りです。何秒以内とかのように数値化できない、謎の言葉であり謎の世界なので志の高くない人は残念ながらこの時点で脱落します。僕は逃げ惑う技術だけで戦いたい人を育成する為にコーチ活動しているのではありませんのでね。

強い走りて何やねん?それは曲がる止まる加速するが自由に出来る走行状態とでも言いましょうか。曲がる時、止まる時にタックルされたらとても弱いのが普通の走り方です。しかし強い走りはそんな時もタックルに強いのです。殆どの人が考えたことも無い領域でしょうから「は?なに言ってんだバカか!」と思われることでしょう。

しかし残念ながら僕の知る限りNFLのRBは全員この強い走りを披露して商売しています。何がどう違うのかはタモン式の指導者に多くの金銀財宝を支払ってもらい、直接習って頂くしかないのですが、まあとにかくこういう皆さんがあまりご存じ無い「強い走り方」というのが有りとても重要なのです。

で、今回はその方法とかの説明や解説ではありません。この謎めいた技術をマスターするとはどういう事なのか?を下手な説明ですみませんが例を挙げて順に話していきます。

技術には「一度マスターしたら以後は絶対成功するバージョン」と、「一度や二度できてもマスターしたとは言えないバージョン」があると思います。

皆さんも子供の頃にご経験があると思いますが補助輪なしの自転車に最初は乗れなかったでしょう?鉄棒の逆上がりはどうでした?練習して(させられて)だんだん出来るようになったと言うよりは、全く出来ない状態が続く地獄時間を経ていたら突然初めて成功しましたよね。その後も続けていると、失敗も含んでだんだん成功が多くなってきて…。今はどうでしょう?自転車乗るの失敗して転ける方っています?逆上がりなんかは体力が落ちると出来なくなっちゃいますが、まあ以前できた人は今でも出来ると思います。他にも、ローラースケートやスケボーも最初は全く出来ませんし、一輪車もそう、フラフープ、暗算、縄跳びの二重跳び、皿回し、むずかし目でいくと自転車やバイクのウイリー、最初は全く不可能ですがある瞬間を境に出来るようになったものばかりでは無いでしょうか?だんだん出来るようにならないし、年月を経た今でもそれほど苦労なく技を披露できるのではないでしょうか。

また「一度できても次も出来るかどうかわからない」ものとしては、レシーバーらがこぞって練習している「ワンハンドキャッチ」もそうでしょう。何度成功しても落っことす確率は高いですよね。また、スピード競技で自己ベストのタイム更新を毎回出来ないでしょうし、相手との関わりのあるタックルやパンチなども毎回決めることは出来ません。決まる事も多いが必ずでは無い。誰かに何かで勝つってのは大抵そうでしょう。これらはたとえマスターしても次からも成功するとは約束されていない技術です。

で、強い走りですがコレは前者の「一度できるようになれば次から絶対出来るバージョン」なのです。例に挙げた補助輪なし自転車に苦もなくサラッと乗れなかったし、ある程度の練習時間や失敗を経験しないと成功しません。成功しないままで挫折して「もうイヤ!」なんて言ってサポートしてくれる親御さんを困らせることもあったかもしれませんが、ランニングバックに於ける強い走りは簡単な技術ですのでマトモな運動神経があり足の速さには自信がある全国のランニングバック諸兄にとってはスグに出来るようになる技術だと思っています。ある日ある時急に成功するんです。「あ、タモンコーチの言ってるのってこの感じか!!」と。

そうなればもうその日から強い走りでしかスクリメージを走れなくなります。ココがタモン式ランニングバックのスタート地点となります。サーフィンで言えばボードの上に立てるようになったところから競技としてのレベルアップを目指せるのと同じです。

強い走りとは曲がる止まる加速するが自由に出来る走行状態ですので、守備11人の位置や動きをどのように観察し、どのように対処するかってのはタモン式ではひと通り決まっていますので、あとはそれを知識化して瞬時に引き出しから出して使えるように練習していけば良いわけです。コマなし自転車と同様、体で覚えるってヤツですね。まあリーグのレベルに見合う体力気力は別途必要ですのでそれはそれで鍛えなあきませんけどね。

これだけ揃えてしまえば自分と同レベルの相手であれば、大抵どうにかなります。

既成の概念による固定観念を全部捨て、フレッシュな頭で挑戦していれば直ぐ身に付きます。コマなし自転車の練習で既成の概念による固定観念ガチガチの子供なんて居ませんからね。

グランドで指導すれば最短でその瞬間に出来るようになった人もいますし、複数年かけてもマスター出来なかった人もいます。

スグ出来なくても諦めずに週に何度も練習すればある日突然世界が変わります。敵や味方がうじゃうじゃ居る密集地帯を切り裂き、タックルしてきた相手を弾き飛ばし、チームメートの笑顔やスタンドからの歓声を得る快感が欲しければ出来るようになるしかありません。

コマなし自転車に乗れない人が、ジャンプしてクルクル回るフリースタイル競技や各種レースで活躍することが出来ないのはハッキリしていますよね。自分が楽しく気持ちよくラクラクとやっていれば「それが努力」だと勘違いしてる人が増えてきている時代ですので、トラディショナルな方法で走りの基礎を会得し、スターになってチヤホヤされる未来を目指しましょう!

タモンズスタイル12aug2022

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