今日本のフットボール界で話題沸騰中の「コンバイン」「トライアウト」について僕の意見をお話ししてみます。20世紀の頃、日本のリーグで殆ど実績の無かった僕が「トライアウト」の傾向と対策を練りに練ってそれから先の人生を変えた経験を振り返り、これから未来に向かう若者に少しでも理解してもらえればなと思っております。
本場米国のプロフットボールNFLはドラフト会議を控え、候補選手らの体力や技術の一端を32チームのスカウトらがまとめて閲覧できるようにと「コンバイン」なる催しが毎年この時期に開催されています。昨今ではこれが面白いコンテンツだと認められ、米国時間で夕方の生放送で(ポジション別で)数日に振り分けてオモシロ番組として君臨しているようです。日本でも有料オンデマンドで配信されているのを観ることが出来るので僕も毎年楽しみにしています。
このコラムでも幾度となく「フットボールでは40ヤード走がとても重要だ!!」と唱えていますが僕の影響力では若者たちのヤル気を引き出せるわけもなく、先日開催されたエックスリーグ合同トライアウトとCFLコンバインの両方をこの目で見てきたのですが、結果は米国のNFL候補生に比べてご存知の通り差が開いておりました。もちろん中には良い成績や印象を残した選手や種目もありましたよ。
NFLでスーパースターとなり、10年連続でオールスターに選ばれるような選手になるために40ヤード走のタイムは直結しない。という学者の研究発表や過去データがあるかどうか知りませんがこれからお話しする事はとても正しいです。
NFLのスターになる事と40ヤード走のタイムは無関係ではありませんが、皆さんの考えと同様に最重要ではありません。足が速いだけで頭や態度が悪かったり、それほど上手でなかったらスターになれるわけがありません。そんなの当然です。で、日本人選手はNFL選手に比べて足がそれほど早くないことから「そうだそうだ!必ずしも40ヤードは重要じゃないんだ!僕らは別のことで勝負するんだ!」とド派手な勘違いを殆ど全員が起こしています。
子供の時から野球や水泳や格闘技など、レベルの高い組織で勝つために厳しくスポーツしてきていない人らにとって「基礎体力作り」は地獄そのものです。僕も勉強を厳しく強要されると同じ反応になってしまっていたので気持ちはわかります。勝利を目指す競技だと本来は自身が勝ち残る為に本気で闘志を燃やし努力をし、やがて結果が出る。のサイクルですが体力作りはそれほど強豪でない組織では義務付けられませんしそれが日本フットボール界で大多数ですから体力勝負で前出の「馴染みのメジャースポーツ」出身者に敵うのは非常に難しいのです。
ウェートトレーニングもここ30年ほどで真剣に取り組む組織や個人も飛躍的に増えましたが、体力が飛躍的に向上しているわけではありません。それどころか米国との差はジワジワ広がってきています。
さて、話を戻しまして「コンバイン」「トライアウト」の根本は試験を受けて成績が良ければ仲間に入れてあげなくもないよ。という構造です。チームがどうしても欲しくてたまらない人材ではなくあくまでも「テスト生」という立場です。その「テスト生」の性能を判断する際に、全テスト生と比較して僅かな差を見出すという作業は採点する側の基準が最優先されます。決してテストを受ける側の「僕らは別のことで勝負するんだ」は尊重されません。プロのコンバインは既に選考された人材による性能を見せる場所なので未来のスーパースターが多く含まれていますが今回のような日本人向け開催のものは必ずしもそうではありません。申し込めば参加できる広き門です。
CFLの場合で言うと、彼らからするとハッキリ言って日本人なんて誰でも大して変わらない。「はい!日本で上から●●人連れていきます。それは誰ですか?」って話なんです。日本のリーグでフットボールのスピードとパワーがあってスキルフルだったとしても本場のカナダ人やアメリカ人に必ずしも勝てる訳ではありません。ですからテストではとにかく目立っておく事です。印象に残る振る舞いで採点する人の印象に残る、記憶される何らかのパフォーマンスをしなければいけません。しかしその中で最も効果がある方法があるのです。そうです。ここで40ヤードダッシュが出てくるのです。40ヤードを重視しなければいけないのです。40ヤード走で好タイムを出しておけばあなたのカルテがずっと選考中の机上にある可能性が高まるのです。
Xリーグ合同トライアウトでも同様です。小さなゼッケンが誰からも見える訳ではありません。残念ながらあなただけを見てくれるのは家族だけです。採点する側は、あなたを見分けることすら出来ているかどうかわからないのです。体が特段に大きいなどの理由がなければ何かの方法で採点者の記憶や印象に残るように努力するべきなのです。自分の特徴を全員に見せ続けるべきなのです。列に並んで皆と一緒のことをしていても印象には残らないんですよね。
そのためにも40ヤードダッシュのタイムはフットボール選手の価値を計る時にとっても大切です。理由は本場米国がそうだからです。もちろんこのような機会が日本で開催されていることからもわかるように、日本のどこかの誰かがCFLと繋がっているからです。そこにどんな約束や取り決めがあるかはわかりませんので、40ヤードは早くないが日本での実績が十分あるからといった推薦が有るのか無いのか誰にもわかりませんが、そのような枠に入ることができない普通の人はスタートラインに立たせてもらう為に40ヤード走のタイムは絶対に切り離せないのです。
本気で真剣に40ヤードの訓練をすれば、なぜこんなに重要視されるのか理解できてきます。静止状態から動き出す爆発力を発揮中に足はどう蹴って1歩目は地面にどうつけば良いのか?上半身はどうするべきか?腕の振りは?背筋は伸ばすのか丸めるのか?アゴはどうするのか?目線はどうするのか?低速走行からの強い加速では何を意識して行くのか?高速走行から更に速度アップする技術はどこで学べるのか?などなどどれだけ練習しても満足いく結果を得られないとても難しい競技です。40ヤード走をしっかりマスターしておけば、実際のフィールドでもこのアクセラレーションはかなり発揮出来ます。そもそも自信がつきますしね。
40ヤード走で米国人の考えるマトモなタイムを出せば人生が変わる可能性あります。今から身長を2メートルにする事は絶対に不可能ですが、俊足自慢の人が4.3台を出す事は努力次第で可能です。そこからはるか遠いタイムの人はスタートラインへの立ち方を再考してみると良い思います。僕の周りにいる米国フットボールに詳しい人らはこの事にそろそろみんな気づいてきています。
これぐらいは出したほうがいいんじゃ無い?っていう表を作ってみました。本気の人はこれを目標に今日から思いつくすべての方法で訓練するのが良いと思います。アメリカ人プロの中でお金をもらってフットボールしたら、フットボール感は当然ですがこれからの人生が大きく変わります。40ヤード、皆さんが思っている1000倍は重要です!

タモンズスタイル7mar2022
