多聞コラム22may2018_vol,200 前島リターンシックス

 関東社会人はパールボウルが始まりノジマ相模原ライズも全力投球で活動しています。今年も運良く準決勝に駒を進めることが出来ました。対戦相手は3年連続「IBMビッグブルー」です。3年前僕はIBM側に居たので今の所1勝1敗です。まあそれは今回のお話と無関係です。

ランニングバックスペシャリストとして3シーズン目を迎え、指導しているランニングバック陣が先日のゲームで「タモン式として満足する結果」を出しました。エース格の2名は出場せず、これまでずっと控えだったプレーヤーが1試合を通して安定した働きを見せチームの勝利に貢献したのです。

そしてもう1名の若手控え選手もスペシャルチームで最高の結果を出しました。この2名が今回のゲームでしっかり仕事をしなければ勝利はない!という中でチームが期待した以上の結果を出したのです。しかも僕の見立てでは「決してマグレではない」というところが肝心なのです。

これまで熱心に僕から指導を仰ぎ、土曜日曜のチーム練習時は当然ながら、平日の僅かな時間でも「タモンコーチ、このビデオを一緒に見てくれ」「今度トレーニングを教えてくれ」と一生懸命やってきたエース格の2名ではなく、殆どコミュニケーションを取れて居ない控えの彼らが活躍したのです。いつも「圧倒的エース」の影に隠れフォーメーションのチェックやセットプレーの練習には入れてもらえず、試合に出る機会も殆ど無かったのに腐ったりせずよく頑張って来たことが報われたのです。

僕は海外でプレーを経験した中で「チャンスを生かすより、チャンスを得る方が遥かに困難」という思いが強くあります。運が良くないとチャンスなど巡ってこないのです。でも大抵のスポーツマンは毎日頑張っていますのでチャンスさえ得られれば活躍することはそれ程困難ではない。大スターになるのとはまた全然違うのですが。

そのチャンスが彼らに降って湧いたのです。担当コーチの僕としては彼らが強豪チーム相手に自分の実力を余すところなく発揮できるのかが心配でした。Xリーグでの試合経験が少なく緊張したりで、序盤に失敗でもしようものならガタガタと崩れるのではないか。。。などと考えていましたが須永ヘッドコーチは「俺は全然心配していない。練習じゃしょっちゅう独走するし問題ないと思う」と太鼓判です。「何を甘いこと抜かしとるんじゃ!」と思いましたがそれを聞いて少し安心したのも事実です。そして試合の日は近づいて来ました。

2人とも良い意味で「マイペースなゆとり世代」を地で行く性格。星型のクロームメッキがピカピカ光るあのヘルメットに何の思い入れも恐れもありません。僕だけかもしれませんが世代的にどうしてもあのヘルメットには特別な気持ちが湧き出てくるのを隠し切れません。先発出場の彼は平気な顔で淡々とランニングバックとしての仕事を間違えたり負けたりせずこなしています。

そしてもう1人がパントリターンで70ヤード程を走り切りタッチダウンを奪ったのです。彼がいつも僕に厳しく叱られ落胆したりスネたりして頑張っていた記憶が次々に頭の中に出て来て、嬉し涙が出て来ました。目が全く見えないサングラスを着用していたので誰にも気づかれませんでしたが。

関わっている選手が、元々持っていた実力で独走した場合はエンドゾーンに突き刺さるまで見届けないのですが、僕の指導した事を使って密集を抜けた場合は身体中に力が入ります。このゾクゾクする感じは自分が選手としてフィールドに立っている時と同じです。

彼らがこのコラムを読む事は有りませんし彼らに感謝の気持ちを直接言う事も有りません。でも10年ぶりにフットボールの現場に帰って来て最高に嬉しかった瞬間でした。僕が教えている事など全然聞いてもないし実践もしない彼らですが、劣悪な環境で努力している裏の姿をいつも見ているのでそれが報われて本当に良かったと思います。

2人ともまだまだ超ド級のヘタクソなのでノビシロしか無いんだからリーグのエースになれるように精進してもらいたいです。

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