多聞コラム6sep2017_vol,177 日本フットボールが退屈なワケ教えます

 僕が現役時代、ライスボウル優勝を目指して脇目も振らず努力していた頃は普段の食事制限やトレーニングなどで時間が全くない状態でしたので、ゲームの夜だけチームメートらと宴会をして楽しい夜を過ごしていました。そして優勝の夢も叶い現役生活を終え、10年ぶりにコーチとしてIBMの現場に戻る時の条件で「練習後などに食事付き合ってね」を設定してあったので、日本代表プレーヤーらと毎週楽しい夜を過ごさせて貰いました。彼らは翌日の早朝から練習があるのでお酒は飲みませんが、僕はひとりで飲むという感じでした。

そして今のノジマに行くときも同じ条件で約束したのですが、まあ何ともランニングバック陣が付き合いの悪いこと悪いこと。数度は行きましたが彼らは「イヤでイヤで仕方ない」「早く帰って妻子と会いたい」という姿勢を思いっきり目で表現するのでこちらとしてもそいう約束だったとは言えちっとも面白くないので段々誘わなくなりました。そして会話がなくなりメールやその他の交流も著しく減り、会うのは土日の練習時間だけ。という関係に落ち着いてます。

しかし!チーム所属1年を過ぎ、段々友達付き合いしてくれる人が出てきました!秋の初戦を無事勝利したこともあり、試合後は騒ぎ過ぎて明瞭な記憶すらありません。今後も選手には選手生活に影響のないように軽めに付き合っていただき、コーチスタッフは翌日会社に行けなくなるほどに僕との夜を謳歌していただきたい。という最近嬉しかったお話を致しましたが、シーズンが進むにつれて問題も増えてくるの遊びの話ばかりもしていられません。

前回のコラムで書かせていただきましたように第1節から優勝候補同士の対戦「オービックvs IBM」が火曜日に東京ドームでありました。いやー凄い試合でした。どちらを応援するわけでもありませんでしたが、ダイエット中ですので買い食いも一切せずに真面目に試合を見ていました。オービック新人の李卓選手(慶應義塾OB)が平均9ヤードを超えるえげつない活躍を見せていました。社会人1年目の秋の初戦、僕など足手まといなだけで全くチームの役に立たなかった事を考えれば本当に凄い選手です。オービックに入部する前にノジマの練習にも来てくれたのですが気に入ってもらえなかったようです。とても残念です。

そしてこのゲームで最も凄かったのが2117オービックリード。オービックにゴール前まで攻め込まれ、これを捻じ込まれてしまえばIBMは苦しかっただろうという場面です。オービックQB6菅原選手の投じたボールがゴールライン付近でキャッチしたDB32小林選手がそのまま約100ヤードを走りきってタッチダウン。この小林選手、新人さんかと思ったら数年前から所属する選手だと。僕がIBMに所属していた時に失礼ながら顔も名前も記憶にないほどの目立たない選手。1部校出身ではないので、名前と経験ではなくヤル気と努力でこれまで頑張って来られたのだと思います。そんな彼がオービックのサイドライン前を見事に走り去り超ド級のカウンターパンチを7タイムスグランドチャンピオンに食らわせたのです。これにはたまらずチャンピオンもぐったり。その勢いが次のシリーズにも影響し追加点を入れるIBM。その後の結果は皆さんご存知の通りIBMが逃げ切って勝利。でもこのインターセプトリターンタッチダウンのドラマ、僕なりに解説しておきました。

新外国人QBイカイカをケガで欠くオービックはベテランQB6菅原選手の強烈なリードでIBM陣深くまで攻め込みました。そしてもう1発パスを決めれば!と言うところで新人のRB29李卓選手に渡すフェイクからのパスでしたがここで誤算が。フェイクした後の李卓選手は漏れて来ているDL34ジェームスブルックスを咄嗟の判断でブロックしなければなりません。計画では漏れてくる筈が無かったでしょうから非常に難しいプレーです。学生界には存在しないNFL級の体躯と実力を持つ選手を真っ正面からプロテクションするしか無い場面でしたがQB6菅原選手の投げたボールがブルックスにチップされ、飛ぶ方向の曲がったボールがDB32小林選手の前に飛んで来たのです。DBですからインターセプトして前に誰も居なければ俊足を生かして走り始めます。そこでまた奇跡的に良い場所に居たLB5コグラン選手が小林選手をタックル出来る可能性を残したオービックTE88安東主将の前に出て邪魔をするのです。その後は普段から走り込んでいるのか陸上選手のようなリラックスし伸びやかなストライドでしっかりと100ヤードを走りきった小林選手の勝ちです。

これまでの日本の守備はインターセプトしてもその後にタックルされてファンブルしては元も子もないという理由で守備選手はあまりリターン後にタッチダウンを狙わないようになってしまいました。現につい先日大学生の試合でもインターセプトして迷わずサイドラインに出て悠々とガッツポーズするシーンがありました。僕の知る限りのNFLクラスなDBの選手が練習を含めてそんな事をしたのを見たことがありません。皆んなボールを持てば必死でエンドゾーンめがけて走ります。皆んなタッチダウンがしたいんです。でもインターセプトで満足しておけとどこかの指導者が誰かに教えたんです。そのあとにファンブルロストされるのがイヤだから。そういうリスク回避最優先志向のフットボールが日本中に蔓延し、見ている人が段々つまんなくなって行った。と言うのがこのプレーで日本のフットボールがいよいよアメリカに向かって再び動き出した!と言う歴史的なビッグプレーだと思いました。僕の中で、日本のフットボール史上最高のプレーだったのでは無いかと思います。いやー本当に凄かった小林選手。貴方のこと知らなくてゴメンね。

で、我々ノジマは次節オービックとの対戦を控えていますので、主にはオービック守備をどうやって切り崩すのか?!を考えねばならないのですが、ランニングバックのやれる事は2名の大物外国人擁する日本代表以上とも言えるオービック守備に怯まず真っ向から勝負する腹積もりで会場に行くだけです。いやーしかしありゃ大変ですね。こちらもミシガン大卒の新外国人120キロから110キロにダイエット済みランナー「シオネホウマー君」というのが参入してます。デカいのに速くて器用な上に優しいお人柄です。本国では彼がボールを持つと「ホゥーーーマーーー!(Houuuuu-maaaa!」という掛け声があったそうなのです。古くはダラス・カウボーイズのFBジョンストン(現解説者)の「ムーーーース」なんてのがありましたよね。是非次回は皆さんも「ホゥーーーマーーー!」と叫んで頂ければと思います!

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