多聞コラム2aug2017_vol,173 ダイエット宣言

 早稲田大学も試験期間が終焉し、いよいよシーズンインの時期になりました。そしてノジマ相模原ライズは既に合宿も終えバリバリに練習が始まっています。僕もそれぞれのチームにコーチとして入団してからようやく1年が経過し選手やチームの体制などに慣れてきたところです。ランニングバック専門の技術伝道者として「みんなのやっているフットボールは変だよ。普通のアメリカ人はこうやっているんだよ」といろんな考え方や取り組み方、細かいテクニックなどを紹介しています。これから彼らは長いシーズンを戦っていきます。試合は勝ったり負けたりとあるかもしれませんが、選手として昨年より何かが向上していなければ僕の存在意義がなくなってしまいます。

結果の対語は原因。これは小学生の時に習いました。出た結果には必ず原因があると言う意味ですのでランニッグバックで言うと「原因」すなわち「日々の取り組み」と考えます。何かミスをしたとしても試合中の瞬間的なトラブルだけが原因とは言えず、そのようなミスを犯しかねない取り組みだったから。と考えます。

ランニッグバックのミスといえば専門的なことを何も知らない別のポジションやファンでもわかる「ファンブル」が代表的ですが、雨が降っていたから手が滑った、敵のタックルが丁度ボールのところに来た、などとその瞬間の原因もありますが、もっと深く考える必要があります。

僕は選手らに「フットボールに気安く触るな」と指導しています。練習やその前後にフットボールを運んだり、チームメートとキャッチボールしたりでボール遊びをする事があると思います。この時に「フットボールへの執着心」が損なわれるのです。チームメート全員が見守る真剣な練習中では無いので飛んで来たボールを落っことしても良いと言う安易な甘えの繰り返しこれを「原因」と考えます。

ランニングバックやその他のボールを持つ役割がある選手はこの「いい加減な気持ちでフットボールを触る」という機会を是非ゼロにしてもらいたいと思っています。子供の頃から慣れ親しんで来たおもちゃでもなく、たまたま始めたスポーツで使う道具である「フットボール」ですが、そもそも持ち慣れていません。腕も短く掌も小さい日本人がタックルされてもあのボールを離さないで居るなど至難の技です。

しかし、自分の大切なものならどうでしょう?大量の札束や高額なもの、祖先から受け継いだ唯一無二のお宝、そのようなものを持ち運んで居る時に意識を失う以外のことで手を離すでしょうか?

自分の体や命より大切だと感じて居るからこそ落としません。でも「フットボール」はどうでしょう。チームから預かった大切なお宝ですがタックルされた時などにしばしばグランドに落とします。プレー中は必ずそのような事が起こることをNFLNCAAも知っているからこそ「ファンブル」というトラブルをルールに残しているわけで、完全に防ぐことは不可能であります。しかしだからこそそのような「結果」を生み出さない為にも「原因」にこだわって練習していかねばなりません。「フットボール」を持つときはプレー中でなくてもプレー中でも関係なく思いっきり握りしめて持つ。フットボールの持ち方は思いっきり握るものなのだ。と自分の体に沁みつけるのです。というような細かい細かいことを延々と講釈タレながらコーチを楽しんでいます。

僕にとってフットボールは人生そのもので、子供の頃から何もかもフットボールを中心に生きて来ました。それでも大した結果を残せずに37歳で限界を迎えアサヒ飲料から引退しました。その後約10年間全くフットボールに関わらずに生活して来ましたが、なぜ関わらなかったかと言いますと仕事や家庭、あるいは遊びの合間に出来るフットボールはフットボールではない。という考えが強くあるからです。フットボールを装ったレジャーはフットボールではなく、競技としてのフットボールを大切にしたいという気持ちでした。フットボールに全身全霊打ち込み、熱中し過ぎて仕事や家族、そして人生そのものが破綻してしまうことも厭わなかった現役時代を振り返ると、もう一度手を出す気になれなかったのです。

しかしそんなトンガリまくった誇り高き僕も年をとりアラフィフとなりました。自分の経験や知識を業界に還元せなアカンで。という有識者からのご意見で気が変わりました。まずは仕事の合間にやってみよう!と。しかしやっぱり僕にはフットボールを仕事の合間にやる事はできないようで、つい入れ込んでしまいたくなるのですが残念ながらフットボールの技術指導だけでは大学生の子供2人が居る家庭を東京で運営していけるほどの賃金を得る事ができません。

ですから現在は出来るだけ多くの日数を選手と過ごすことしか努力できていません。つまり全身全霊には程遠い取り組みです。選手時代の10分の1もエネルギーを費やせていませんし、活躍しなければならないというプレッシャーもありません。対戦相手の分析をして作戦を考えるなどの役割でもないので、コーチとは言え試合が近づくと仕事が激減し、共に戦っているという感覚は薄れていきます。

そんな体力的にも精神的にもちゃんちゃら甘い状況に違和感を抱いていたのですが、彼らと共に戦う方法を思いつきました。それは僕自身の肉体改造です。現役時代は食事を調整しトレーニングを怠らなかったのは強くなりたいからだけではなく「太ってしまう」からでした。それでも年間4ヶ月の貴重なオフシーズンには体を大きくしておかないと強くなれません。シーズンに入りジワジワと減量していき、春の決勝戦あたりと、秋の終盤の年2回を減量のピークにしたものでした。

その時に培った栄養やトレーニングのコツは、現代の最新情報と照らし合わせても根幹がそれほど変化していないようなので仲間(元ノジマ相模原ライズのランニングバック、現タモン式ランニングバック養成所肉体改造ディレクター村岡大樹氏)からアドバイスを受けながら約125キロに膨れ上がった体重を今シーズンの終わり(ノジマ対早稲田のライスボウルになる事を願う)には99キロになれるよう、挑戦を始めて数日が経ちました。村岡氏曰く「減量は多くの人に宣言して置くのがコツ。そうすれば逃げられなくなる」ということなのでSNSではなくこちらのコラムを使わせていただくことにしました。

ランニングバックの技術向上も自分が本当にヤルと決心して自分が自分を励まして慰めて成長させて行かねばならないんだ!また負けてしょんぼり会場を後にしたいのか!勝ちたければもっとやれ!なんて偉そうに選手には言ってる僕ですが、彼らの苦しみやしんどさを少しでも感じ取れるように、僕も自分にとって大変なことにチャレンジしてみようと決めました。まあ一番の問題は僕がクラフトビールとハンバーガー専門店のオッさんで、味見も仕事のひとつであるという事ですね。厳しいシーズンを勝ち抜いて最後には美味しいビールをガブガブ飲めるように選手らの後ろをついて行きたいと思います!!

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