タモンスタイル2015may1_vol,89 規律(DISCIPLINE)
中学生の時に河川敷のプライベートチーム、少し間が空いて大学3年生からフットボール部に所属し、3年時4年時と春秋の公式戦勝利経験無いまま社会人2部リーグの三武ペガサス。その後は名門サンスターファイニーズ、アサヒ飲料チャレンジャーズというトップチームを経験。ライスボウルに2年連続出場したり、海外プロリーグで過ごした約20年間、あらゆるレベルであらゆるフットボールの中で過ごしてきました。
地方リーグや下部リーグで頑張っていらっしゃる多くの方もこのコラムをお読み頂いているそうですので、下部組織と社会人のトップチーム、はたまたNFLとはどこが違うのか?どうすれば自分たちもライスボウルに出られるのか?という非常に難しい問題について今回はフットボール特有の言葉である「規律(DISCIPLINE)」をテーマにザザザザーっと書いてみようと思います。まあ、僕の通ってきた道が全てではありませんが、世の中はおおよそこんな感じですよーってのを伝えられればなと思います。
で、「規律」とはなんぞや?ですわね。Wikiってみたらこんな事(*1)が書いてありました。まああとで読んどいてください。
3部リーグとトップチーム、何が違うって、選手とコーチの能力や人数が違います。凄い選手が凄い作戦を遂行するから強いのです。ってそんな事は誰でも知っています。でも凄い選手になるには何年も何年もかけなければ(*2)ダメです。凄い作戦をたくさん用意して、場面に最適なサインを出せるようになるにはこれまた何年も修行が必要です。ですからどちらもスグには真似できません。また強いチームにはお金もたくさん必要です。整備された専用の敷地があり、自分たちの都合だけで練習や会議が出来る環境が必要です。サポートするマネージャーやトレーナーなども多ければ多いほど有利でしょう。しかしそんなのもスグには用意できません。
他にも色々あります。練習着がバラバラで、付けている番号も適当。ヘルメットの色なども前に所属していたチームの色などを個人の自由に任されていたりします。しかしプロはどうでしょう。守備と攻撃で衣装の色が分けられ、ヘルメットもチームカラーで統一されています。個人の好みが出せるのはせいぜいグローブとシューズ、インナーシャツ程度です。練習時にマスコミの取材を受ける可能性もあるので、好きな色のジャージーや、自分のでは無いナンバーを付けて練習する事など決して許されません。この2つのチームの練習を見物する外部の人から見ればどちらのチームが規律正しいか明確に判断できます。しかしこれも莫大なお金が求められます。
ではこちらはどうでしょう。集合時間についてです。試合や練習は何月何日の何時にどこで、と決まっていますが、強いチームには時間ギリギリや遅刻する者は1人もいません。しかし弱小の3部リーグだと「親の用事で」「自転車がパンクして」「渋滞で」「デートがあって」などと言って時間通りに来ない者が続出します。しかしこの問題は早めに出発する努力さえすれば解決する非常に簡単な問題なハズですが、何十人も関係者が居れば意識の低い者(*3)も数名は存在するので統制は難しくなります。個々人が「時間を守る」という事に対してどれだけ重要性を感じているか?にかかってくるからです。それが強いチームだと「時間を守らねばチーム員としての立場を失うかもしれない」というような危機感が組織内に蔓延しているのです。ですからこの「雰囲気」は新人にも継承されていくのです。これが強いチームの秘密ですね。
時間を守る。という当たり前の事を最初から教えなければならないチームと、そんな事は当たり前だと全員が理解しているチーム。強くなるのは当然後者となります。思いがバラバラで規律は守れないが屈強なメンバーを揃えても勝てないのがフットボールでありチームスポーツの凄さであると思います。
クラブハウスや部室の掃除(*4)、そして整理整頓されているか?も強さの基準となります。僕も「なんで部室が掃除してあれば試合で勝てんのん?関係ないやん!」とずーっと思っていましたが、残念ながら昔の僕は試合に勝てないカスでしたので考え方が間違っていたのですね。部室の綺麗さは勝敗に関係あります。完全に。これもチームで行動していく中での「規律を守れる人間かどうか」のジャッジです。
どうして綺麗にしなければならないのか?という問いに対する答えは「しなければならないから」なのですね。これだけです。それが理由です。
いまひとつチームが勝てない、弱い、とお嘆きのチームキャプテンは、ぜひ以下のことをすぐに実行してもらいたい。お金のかかる事もありますが、そこはチームの勝利のために何とか頑張ってもらうしかありません。それも「あなた方のフットボール」です。
- ヘルメットの色は試合と同じカラーに塗り直し、試合ごとに綺麗に塗り直す。傷んだディキャールも貼り直す。
- フェイスマスクもボロいのは交換する。
- 練習用ジャージーは自分の番号にしてデザインと色を統一する。人数が多いチームは守備と攻撃を色分けする。
- フットボールパンツの色も全員同じにする。違う色は履かない。
- 短パンやスウェットで練習する時も色(できればデザインも)を統一する。
- 部室をピッカピカに掃除してそれを維持する。
- チームの所有物を整備や修理して大切に扱う。
- 時間を守ることに対して厳しくする。
これだけでチームへの忠誠心を育み、毎日のグランド上での景色として「アタリマエ」が脳に刻まれます。心の一体感も向上します。あとはフットボールのゲームで活躍できるように「体と心と頭」を鍛えれば良いのです。良いコーチも街中にたくさん潜んでいますから見つける「運」も重要です。
「規律(DISCIPLINE)」のスグに実行出来る超初歩編、これを読んだあなたのチームだけがワンランク上のフットボールチームに昇格します。ぜひお試しください。
僕は遊びでフラッグフットボールのチームを作っていますが、最近ようやくこの「規律(DISCIPLINE)」がチーム内に浸透しつつあり、末端のド補欠でさえもいろんな暗黙のルールを守れるようになってきました。するとどうでしょう。これまで1回戦負けばかりだったチームですが少しは勝ちあがれるようになりました。チームや組織のレベルはその組織内の最もレベルの低い人が基準となるわけで、我がチームはその基準値を上げることが出来たわけです。レベルの低いチームは、少しの作戦よりも「規律(DISCIPLINE)」をキチッとするだけで組織力は上がるのだという実例です。
- (*1)規律(Discipline)とは一般に軍隊における部隊が効率的な軍事行動を遂行することが可能な特性をいう。
《概要》軍事用語としての規律は群集や社会集団全般が示す意味とは異なり、特定の作戦目標を限られた時間と方法によって達成する部隊の性質を指している。したがって、規律を保つことは部隊の戦闘効率を最大化することを可能とし、被害を抑制する結果をもたらす。
規律の対極として位置づけられる現象は戦闘における行動の混乱と士気の低下であり、平時においては訓練中の事故として現れる。規律を維持するための基本的な方法は軍法による外的な制裁と職業軍人倫理に基づいた内面からの規律の二つに大別することができる。
外的な制裁は戦闘において部隊の陣形を維持する方法として古典的な方法であるが、部隊の規律を保持するための負担がより大きくなる。脱走兵の問題や命令への不服従を解決するためには、複数の外的な制裁措置を組み合わせるだけでなく、教育訓練を通じて兵員に自発的に規律を備えさせることが求められる。今日では戦場において個々の兵員が分散する場面も数多く見られるために、規律の重要性はより強まっていると言える。
最近の研究動向では指揮官のリーダーシップによって規律を確実なものとすることが追求されており、兵員に対して制裁を与える以外に規律を確保する方法が研究されている。(ウィキペディア)
- (*2)みんながみんな凄い選手になれないですしね。
- (*3)アサヒ飲料にも才能豊かで規律を守らない猛者が数名いました。Fヘッドコーチが退任時に何も引き継ぎ作業しなかったのですが「あいつとあいつだけは辞めさせろよ!」とだけ残してチームを去ったという事がありました。両人ともに大学時代はエースでキャプテン。才能はあれどもヤル気と規律が足りませんでした。Fコーチでも彼らに規律を守らせる事は非常に難しかったのでしょうな。
- (*4)プロになると敷地内は清掃を職業とする人が雇われていますので関係ありません。掃除がイヤならNFLに行こう!無理なら掃除しよう!
