多聞コラム12mar2015_vol,82「ゴリゴリ多聞、自伝を語る38」アトランタキャンプは続く

NFLヨーロッパ「アトランタキャンプ編」

1998年3月4日

この先の人生を賭け、仕事としてフットボールをしに来ているプロなわけですが、せっかくのアメリカ滞在なので遊びも計画してきました。

  • ハードロックカフェに行く(行った都市にあれば必ず行く)
  • HOOTERS(フーターズ)に行く
  • ポロラルフローレンを買う(日本じゃ高くアメリカは安いと思ってた)
  • 写真をたくさん撮る
  • 処方箋なしでコンタクトが安く買える国だと聞いたのでたくさん買う

の「やることリスト」がありました。1992年になんば球場跡に出来たUSAのイメージそのままなハードロックカフェが大好きで、どこの国に旅行しても訪れるのが趣味でした。ですから練習がオフの日を狙ってそのうち行ってやる!と決めていました。念のため国際免許も作ってきてあります。次にフーターズですね。今は日本でもお馴染みのレストランチェーンですが、当時は日本にありません。こういう店を持ちたいなと思っていたので帰国後に飲食店を始めた後もスタッフらとアメリカに出かけて、何軒もハードロックカフェ&フーターズ(*1)をハシゴしました。ラルフローレンは確かに安く売っていましたが、レジに並んでいる最中に閉店時間が来た上にレジが故障したとかで買えず追っ払われてしまい買えず。写真は沢山撮りました。コンタクトレンズは買いに行くも英語じゃ説明出来なくて断念。完了したのは結局写真だけ。当時はデジカメではないので限りあるフィルムのカメラで1日1枚を目安に撮影していました。

今日は練習の最後に、フルタックル(*2)の移動スクリメージ。いつもながら全く名前を呼ばれず、最後の方に1プレーだけ。しかもパスプレーなのでプロテクション。NFLのラインバッカーがブリッツしてくるところへブチ当りに行かねばなりません。ヒットの強さもスケールも日本の社会人リーグで経験したのとは全くの別次元。比較になりません。1プレーだけの出場でしたが首が痛い(*3)のなんのって。というか怖い。少しでも集中が欠けていれば首が折られる。これまで装着したことがない「ネックロール」が心の底から欲しい。でも、もうすぐ日本からコーチ研修にたくさんの人たちが来るのでカッコ悪いマネは出来ません。恐怖(*4)を乗り越えるには、やせ我慢と根性しかありません。

1998年3月5日

疲れてグッタリ寝ているはずの朝4時にカミナリの音で起きました。いや、違う。ルームメイトのオーレ君が奏でるイビキです。バリッバリの爆音でここのところ毎日起きてしまいますが、寝ている120キロのドイツ人に「イビキかくなボケ!」と言ったところで逆ギレされては困るので泣き寝入り。と思いきやホンマにカミナリがゴロンゴロン鳴ってて大雨。一応始まった練習も中断され、午後からの練習も短縮。これが1日あるだけでずいぶん体が休まりました。お買い物に出かけて今日はオシマイ。

1998年3月6日

今日は朝から何故かドイツ語の挨拶を教えてもらいました。「What’s up? wie gehts?」 「Badschlecht」 で 「Goodgut」 この3つ。ま、使う機会ありませんがね。

今日はいつもの天然芝グランドではなく、少し遠い場所にある人工芝グランドで練習。連絡事項で事前に言われていたんだろうけど、全く知らなくてかなりビビりました。

日本の人工芝とは違ってフワフワしているので走り心地が良く、震災後の西宮スタジアムと比べたらそらもう。

今日は練習が終わってからタッチダウン誌の取材があったので他の日本人選手と会う事になっていました。安部奈知選手の部屋には板井征人選手、河口正史選手が集まっていました。せっかくこれだけのメンツの中で取材(*5)を受ける身分になれたんだし、首が折られる不安や、アメリカ人強すぎるから怖い、アメリカ人上手すぎるから帰りたい、という気持ちを持たないようにして、しっかり頑張るでーと気持ちの仕切り直しが出来ました。

1998年3月7日

朝、集合してコーチが「今日はオフ。遊びすぎて警察に捕まったり問題起こすなよ」みたいな注意を聞いて解散。そうです。待ちに待ったお休み。オフです。クルマを持っている奴と一緒にお昼ゴハンは「やることリスト」のHOOTERSです。これでひとつクリア。日本人コーチらも昨日到着して顔見知りも居たのでそのまま何人かで宴会。ビール飲みまくってあー楽しい。

1998年3月8日

起きたら二日酔い。しんどい。けど練習ですよ。でもいつもは2部練習ですが今日は日曜日だからか、お昼に1度だけの練習。軽く始まったところで大雨が降ってきて練習中止。雨で中止って何回かありますけど、凄い量なんです。ランニングバックの位置からラインバッカーの後ろ位までしか見えないんです。その後ろのセーフティはボヤーッとしか見えません。ハンパな量じゃないんです。だからコーチも選手がよく見えないし次にどんなプレーをやるか書いた大きな紙も使い物になりません。ホテルに帰って近所のショッピングモールへお買い物。CDを数枚と、それを再生するハンディ型プレーヤー(*6)を購入。お買い物をしてご機嫌な上に、ホテルに戻ると夕食はハンバーガーとホットドッグ!!最高の1日です。食べまくってから夜のミーティング。昨年度のリーグ戦VTR。明日は河口選手の所属するアムステルアドミラルズとのスクリメージがあるのでそのスカウティングです。実際のゲームビデオを見て行うミーティングはこれが初。もの凄く多い情報量が英語でインストール(*7)され、気絶寸前の僕は早く部屋に帰って買ったばっかりにCDが聴きたくて仕方ありませんでした。

【通常の1日】

  • 6am 起床&朝食(食べ放題)
  • 730am バス出発
  • 8am 練習場到着テーピング着替え
  • 9am 練習開始
  • 11am 終了&トレーニング
  • 1230 バス出発
  • 1pm ホテル到着&昼食(食べ放題)
  • 2pm バス出発
  • 230練習場到着テーピング着替え
  • 330 練習開始
  • 5pm 終了
  • 530 バス出発
  • 6pm ホテル到着&夕食(食べ放題)
  • 8pm ミーティング開始
  • 11pm 終了&就寝
  1. 現在もこの時の想いのまま、バッファローウィング、ナチョス、ハンバーガーを提供するお店をしているんです。
  2. 「ここからタックルやでー」とコーチが言ったような気がしてたらホンマに始まって、今まで聞いた事の無いハードすぎる激突音がすぐ目の前から聞こえてきます。スパイクで地面が掘れる具合、低音で響く肉体同士がぶつかる音、プロのハードタックルを目の前で初めて見たわけです。ブルッブルです。まずいトコに来てしまった。完全に。
  3. フットボールで首が痛くなった経験がありませんでしたが、ココで体験しました。危なすぎますアメリカンフットボール。
  4. 多聞の3大怖いもの。オバケ、ゴキブリ、プロのアメ人。
  5. 発売されたタッチダウン誌には我々の事が「NFLE四銃士」となっていました。
  6. MDが大ヒットする少し前。Ipodとかはまだ気配すら無い時代。黒人選手はHip HopR&B、白人はRockやカントリーのCDが部屋に山積みして置いてありました。
  7. とりあえずコーチの言うセリフをカタカナで速記しておいて、英語に翻訳して、それを日本語で理解する作業が深夜の日課。
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