好きこそ物の上手なれ
フットボールに限らず、その競技で上達したりチャンピオンを目指したりするなら昔から伝わるこのことわざ「好きこそもの(物)の上手なれ」というのがぴったり来るなと感じています。
「上達には反復練習や積み重ねが大切云々カンヌン」とは毎度唱えておりますがその前に大切なことは「フットボールを好きになる」や「自分のポジションを好きになる」事だと思います。
今回のポイントしては
- 偏らず全てに詳しくなろう
- 用具にも詳しくなろう
- しんどい事やイヤな事が消える日がくる
です
順に書いていきます
部活動やクラブチームに入って活動しているのですから殆どの人はフットボールのどこかの部分が好きだから、気に入っているから続けているのが普通でしょう。
ただフットボールは非常に複雑で難解な種目です。団体競技であり、格闘技のであったり、瞬発力と耐久力が混在し、役割分担しながらも作戦面の実行力が強く求められます。そして、ボールや防具などの用具も使用します。
つまり、フットボールで上達したり成功したりを目指すのであればこれら全てに見識を深め精通しているべきでしょう。しかもポジションがもの凄く多くトップのチームだと20種以上、ザックリ分類しても8種類はあり体格や得意な運動の特性も様々です。人数の少ないチームだと1つのポジションに選手一人だけ。なんて事も大いにあり得ます。そういった場合、初心者の選手は誰からもその専門的な事を習えないまま引退の時を迎える事もあります。
このようにチーム事情は様々あるでしょうし、チーム運営とコーチングシステムが完備されているチームは日本では片手で数えられるほどでしょう。しかし、上手くなる為にチーム事情は関係ないですよね。自分がどれだけヤルか?だけでしょう。
この時に今回のテーマである「好きこそもの(物)の上手なれ」が大切だと思っています。フットボールは好きだけど、トレーニングは嫌いなのでやらない。痛いのは嫌いなのでぶつかり稽古は本気でやらない。持久走は苦手なので全力でやらない。作戦を覚えるのが苦手、雨の日は練習を休みたい、など嫌なことって沢山ありますが、こんなの誰でもそうでしょうし、僕も初級者の頃は同じでした。
逆に、トレーニングは好きなのでしっかりやってる、ぶつかり稽古は好きだ、持久走は得意だ、作戦を考えるのが好き、という方もいらっしゃるでしょう。その「好き度」をフットボールに関わる事なら全て同じにしてみるチャレンジをしてみてください。そしてその後はしっかり勉強して知識を得て「全てに詳しくなる」。
何かだけ得意でも、何かだけ詳しくてもフットボールは分業制だから良いのでは?これは大きな間違いです。違うポジションや攻撃守備に関係なく、対岸や隣を知る事で自分のヤルべき本当の仕事がクッキリと見えてくるものです。
次に「用具に詳しくなる」という面です。ヘルメットなど、フットボールの特徴である仰々しい防具類、動きやすさなどに影響するシューズやウェアにテーピング類。最近ではグローブも進化し粘着性の高いものが好まれています。
こういった用具は本当に自分にジャストフィットしているのか?同様の価格帯でもっと使いやすい、動きやすいものがあるのではないか?自分の装具の一部分を3mm調節するだけで格段に視野が広がったり、関節の可動域が大きく変化したりを全てチェックしていますか?調査しましたか?
先日数名の選手らがヘルメットの分解清掃すらした事がないと言っていたので一度やってみたらと勧めてみました。プロなら用具係が全て勝手にやっておいてくれますが、自分でやって細部の仕組みも把握して微調整や部品の整備をしてより使いやすくして試合中に故障を起こさず長い期間使えるようにする。このように書けば当然の事だと思われる方も多い事でしょう。
シューズは次の試合会場に敷かれている芝生や土に最適な仕様になっていますか?靴ひもの調整や中敷の形状や厚さはアナタのパフォーマンスが最高になるように色々試しましたか?
試合で使うジャージーの形状やサイズは、防具を装着して体の動きがベストな状態ですか?
などなど用具類は多種あるのですが、これらに「関心がないから与えられた物を特に何も考えず使っている」では用具を使うスポーツの競技者として残念な気がします。フットボール以外にも用具を使う競技はたくさんありますが、僕の感覚では殆どの人が自分たちの使う用具には深く精通しておられる印象をもっています。オートバイのレーサーがほんの少しの違いをメカニックにリクエストするのは機械や道具に精通し鋭敏な感覚を研ぎ澄まして競技しているからこその例でしょう。
そして最後の「しんどい、イヤと思わなくなる」ですが、フットボールのことを誰よりも深く好きになり詳しくなっていけばやっぱり勲章やトロフィーに気持ちが向きます。
で、それらを手にするにはどうすれば良いか?も詳しく知識化されていますので、頭の中で満足いく未来への道程表が作られていくと思います。どれ位の強度と量のトレーニング、練習や会議をやるべきなのかもだいたいわかってしまいます。
自分が何より欲しい物を手にするために決めた「やらなければならない事」は段々と「自分のやりたい事」に変化していきます。なので、何キロを動かす、何秒で走る、何回する、体重の増減調整、などなど全て「自分のやりたい事」になるので、遊んでいるのと同じになり「しんどい、イヤと思わなくなる」わけです。
実際には息が苦しく身体中から悲鳴が上がるキツいキツい鍛錬を毎日何度も何度もヤルわけですからしんどいです。でも本当の意味を理解せず、イヤイヤやらされているレベルの選手には理解出来ないでしょうし、決して味わえない世界なのです。
タモン式「好きこそもの(物)の上手なれ」論はこんな感じです。関心を持ち、全部を好きになり、深く深く知識を得、自分の行く道が見えてくる。気づいた時には自宅のリビングに欲しかったトロフィーがポンと置いてある日が来るのですね。
フットボールは中途半端にレジャーで出来る競技じゃないって事を国民の殆どが知っているからアメリカでは人気がありプレイヤーは敬われるのです。ニッポンの皆さん、どうせヤルなら真剣勝負でやってみようじゃないですか!