先週東京で開催されたコーチングクリニックを受講してきました。「日本初開催!スーパーボウル優勝コーチ”ROCKY SETO”タックリングとコーチング理論」です。
どうしてランニングバックのテクニカルコーチが守備のクリニックに行くのか?理由は2つです。20年前にプロ選手として渡米した時に初めて知ったHEDS UP FOOTBALLがあれから本場でどれほど進化しているのかに興味がありました。もう一つはランニングバックの宿敵であるタックラーという生き物たちがどのような技術論を持っているのか?を調査する為です。つまりは米国で最新の情報が欲しかった。ということです。僕もプロとしてコーチをしているのですからここに興味が湧くのは当然で攻守の専門は関係ないと思います。
ROCKY SETO氏は現在コーチを引退しキリスト教の牧師さんですので、説法は優しくわかりやすいものでした。ご本人は両親が日本人で、アメリカで育った純日本人だそうです。
名門南カリフォルニア大学(USC)出身、卒業後はUSCのコーチとしてローズボウル優勝。そしてシアトルシーホークスでスーパーボウルにも勝利。本物中の本物です。こんなチャンスがスグそこで開催されるのですから行くしかありません。
今週末にも関西で開催されますので内容に関しての詳細を明かすことは出来ませんが、結論から申し上げますと「感激した!」でございます。もちろん守備のことをこのように拝聴したことも真剣に学んだ経験もありません。しかし、日本初上陸のNFLなタックル方法。しかも脳しんとうになりにくい方法。と来ていますので、聞くのが楽しみで仕方ありませんでした。
もちろん、これまでもHEDS UP FOOTBALLを聞いたり学んだりしたことはあります。ホークタックル、ショルダータックルの定義も映画コンカッション公開後に学ぶ機会がありましたので全くの無知ではありませんでした。
脳しんとうになる多くの原因に「タックルにいった際、ヘルメットが太ももに横から蹴られる」というケースがあるという有名なデータがあります。ランニングバックからしますと、それはワザと狙っていて、腰から下に飛び込んでくるタックラーを激しく蹴っ飛ばす練習をかなりの量やります。いわゆる「ニーアップ」と言われているものです。少なくとも僕はやっていましたし、現在指導している選手たちの練習にも組み入れています。
ROCKY SETO氏のご説明でも最初は理論がよくわからなかったのですが、講演の中で実際に動いてくださったり、練習風景のVTR、シーホークスのゲームVTRでそのシーンを何度も何度も見せてもらうウチに、理解してきました。手本となるシーホークスの守備選手が次にどんな動きを見せるのかが段々と予測できるようになってきました。
それはそれは見事なものです。自分が今すぐにでも守備選手としてプレー出来るような気までしてきました。こんな技術を全ての守備選手が身に付けてしまったら今以上にパスばっかりのフットボールになってしまいランニングバックにとっては全然面白くない方向に行ってしまいかねません。
守備選手のタックルやヒットは「こうくる(はず)」という予測を立てても無駄。対策することが出来ずに絡まれてしまいます。しかも守備選手(もランニングバック)も安全に。ヘルメットを蹴り飛ばそうにもランナーの太ももの前面にヘルメットが来ないのでかわし方や走るコース選択も変わってきます。危機的状況です!
上半身へのタックルやヒットに関しては、20年前からアメリカ人はこうやっている(ように感じた)ので驚きはありませんでしたが、細かい動きの説明をしてくださったので理屈がわかりました。
タックルというのは実はパスのプロテクションと似た部分が非常に多いので、見る場所狙う場所足さばきにヒットポイント、手の動かし方などなど共通点が満載です。ですからタモン式のパスプロテクションも今以上に強力になる筈です。まあランニングバック諸氏は総じてヒットが苦手で忌み嫌う傾向があります。短期クリニックでご紹介しても、実演を嫌がる傾向があります。
関西エリアでは2月16日(土曜)に兵庫県の関西学院大学で開催されるこの「ロッキーセトコーチングクリニック」は全ての守備選手や守備コーチに受講してもらいたい講演だと感じました。練習2000日よりも濃く価値の高い1日になる筈です!
