社会人フットボール(エックスリーグ)は終盤戦です。生き残っているのは6チーム。そして今週末のゲーム結果でファイナルラウンドに進出できる4チームが決まります。楽しみですね。
残っているのは
- 富士通フロンティアーズ(外国人QB)
- リクシルディアーズ
- エレコムファイニーズ(外国人QB)
- オービックシーガルズ
- パナソニックインパルス
- IBMビッグブルー(外国人QB)
の6チーム。
そのうち、攻撃というかチーム勝利の核となるクウォーターバック(QB)にアメリカ人選手を配備しているのが3チーム。なんとトップチームの半分がアメリカ人に攻撃の鍵となるQBを任せているのです。で、このアメリカ人QB選手達ですが、本国ではプロにも入れるって程の、かなりの本物だったということですので、僕なりに検証してみます。
「おいタモン、あのアメリカ人QBはどうなのよ?」なんてお店で聞かれることがとても多い日々ですが、まず僕が知っている「アメリカ人QB」という怪物たちの実力はこんなもんじゃありません。「どうなのよ?」なんてレベルじゃなく、本来は「アレはえげつないな。日本じゃ反則やで」となるべきなのです。
子供の頃から地元じゃスーパースター。中学で大活躍し、高校にも引く手数多だったことでしょう。そして高校でも圧倒的な活躍を見せ幾つもの大学からスカウトが来て、自分の好みに合う監督や環境を吟味して進学。そしてまた活躍しプロへの期待を背負い。。。最終的に日本に来ているということは本国のプロには行かないなんらかの事情があったにせよ、そんな彼らが本領を発揮すればエックスリーグの守備に対して得点出来ないシリーズなど存在するはずが無いのです。有り得ないのです。しかし現状では試合に負けたり、攻撃が行き詰まりパントを蹴るなどという事もしばしばです。
彼らほどの選手がこの程度しか活躍出来ていないということ事を、僕を含めた日本のフットボールファンはきっと残念がっておられる事でしょう。
アメリカ人QBの凄さは、パスの勢い、コントロール、タイミング、ハンドオフやピッチも含め、何をやらせても机上のイメージのまま遂行できる事です。尚且つ子供の頃から鍛えられ洗練されてきたリーダーシップ(日本人の上司みたいに本を読んで勉強したイビツなリーダーシップじゃありません)にキャプテンシー、声の大きさ、ケガへの強さ、心の強さ、フットボールIQも桁外れ。それだけでなく、日本人フットボール選手と違い、上級生が抜けたから「はい、今年からレギュラー」みたいな甘い道程を1度も通ってきていません。並み居るライバルたちを何百人もなぎ倒して掴んできた地位なのです。
そんな人たちが本気で遠慮なく実力を発揮するには、受け手であるレシーバー陣や、その他の周りのメンバーの能力にかかっています。
日本人レシーバーが走るコースに捕球可能なボールが飛んで来る場合、過去データからあらゆる可能性を割り出して守備選手は備えます。ですからそこは日本人対日本人の対決です。ただ、このタイミングやコースがディフェンスラインの頑張りやブリッツの成功で、少しでも狂ったり違ったりした場合に全ては変わります。
そんな時、QBは予定していた投げ場所から移動せざるを得ません。QBが動けばレシーバーたちに求められるコース取りも臨機応変に対応しなくてはなりません。ここから日本人とアメリカ人の違いが大きく出ます。日本人のコーチに、この先を指導出来る人がそんなに沢山居るとは思えません。ですからアメリカ人QB自らが、事細かくリクエストという名のアメリカじゃ誰でも知っている当たり前のことを、日本人らに「初心者指導」をせねばならないのです。フットボールIQの偏り方、出来る事と出来ない事、知っている事と知らない事、アメリカ人からすると不思議で仕方ないことでしょう。「こいつ、あれだけのキャッチ力や闘志があるのに、なぜこのスクランブル時に何も考えずフワーッとフィールドを走っているの?」と。
子供時代にバスケットやサッカー、ハンドボール、ラグビーでもなんでも良いです。選手の考えで試合が流れ、味方選手が動きやすいように、パスが出しやすいように、どうすれば良いのか?どこで待てばいいのか?どこに行けばいいのか?を考えてスポーツした経験があればもう少し違うハズです。
ハイレベルなスポーツを未経験で入部して、10ヤード真っ直ぐ走って振り向きなさい。そうすればボールが飛んできます。それをしっかり捕りましょう。競技人口の少ないフットボールですから、落とさず捕れるようになればスグに戦力です。
大した事のないコーチか先輩にとりあえず習ったレシーバーの仕事は、アメリカ人の本物QBが緊急発進した時の「多様性」と「絶対的なルール」をイマジネーションすることなど出来ません。
ポンポンと速いテンポでパスが通りまくるうちはアメリカ人QBと日本人レシーバーの練習通りの作戦通りです。そしてひとたび守備側の対策が生きてくればパスは全然通らなくなります。
理由は守備の対策を上回る「個人技術の知識」が少なすぎる為です。守備のフォーメーションが3人だから、4人だから、というような理屈で全てを片付ける習性のコーチ(大抵は昔ヘタクソ選手で頭デッカチ。情報は人から聞いた事ばかりでほとんど未経験。ギリギリの所を選手の技量だけに賭けることが出来ない臆病者)は、「最後には個人の技量がモノを言う」という大前提をおろそかにし、見失います。守備がピッタリとマークしているような所にパスを投げ、技量だけでその難しいパスをもぎ取る。という最高レベルのギリギリ勝負がわからないのだから仕方ありません。だから、QBがすぐに走り出すので日本のフットボールがつまんなくなったのです。
少しのアメリカ留学(どうせお客さん扱いでしょうが)と日本の先輩に習ったフットボール学のプライドを捨てて、本物の最新情報を持つアメリカ人QBに全てを託し、1人か2人のレシーバーに「阿吽の呼吸」「ツーとカー」の一欠片でも教え込ませれば勝機があるんとちゃいまっか。
決勝戦で80点取るとか、彼らなら可能なはずですけどね。