自身が綴る中村多聞物語⑨ 三武ペガサス２年目入替戦
当時のチーム構成
【１部Aブロック】
- アサヒビールシルバースター
- 三和銀行ラークヒルズ
- レナウンローバーズ
- 鹿島ディアーズ
- 日産プリンスパルサーズ
- 三菱電機ソシオテックス
【１部Bブロック】
- NECファルコンズ
- オンワードオークス
- リクルートシーガルズ
- 三菱銀行センチュリアンズ
- 富士通フロンティアーズ
- さくら銀行ダイノス
【２部Aブロック】
- 東京海上ドルフィンズ
- 住友銀行スプリングス
- 東海銀行レッドウェイブ
- 伊藤ハムハスキーズ
- IBMビッグブルー
- アクアデルレイシャークス
【２部Bブロック】
- 三武ペガサス
- 日本生命ロングランズ
- スカイラークス
- 内外衣料製品オックス
- 清水建設ブルーサンダース
- 警視庁イーグルス
半分以上が消滅していますね。名前を変えて無いチームはいくつ？ 時代は変わりましたね。
２部で優勝し、１部リーグ最下位のチームと入替戦を行い、勝った方のチームが来季１部リーグでプレー出来る権利を得るのが「入替戦」です。そうです。僕にとって人生で初めての「１部リーグ」のチームとの試合です。合同練習などで１部リーグのチームを体感していましたがゲームはその１０倍以上緊張します。昨季は同ブロックで対戦し14-23で負けています。そして彼らはその後１部リーグで１年間強豪と対戦し１勝４敗という成績だったとは言え、ボロ負けは無く僅差で負けているゲームばかり。ましてや１部昇格初年度に１勝しているワケで、我々ペガサス軍団にとって全く良い情報ではありません。我々が勝てなかった昨年より強くなっている事は間違いないのです。その成長具合が我々の方が上回っているかどうか？にまだ自信が無い頃でした。 QBに現早稲田大学監督（？ヘッドコーチ？）の濱部選手が加入し、得点力もリーグ戦５ゲームで７９得点と昨季とは比べ物にならなくなっているようです。そして日本大学フェニックスが３連覇した時の４年生だった「ラインバッカー守屋選手」に「ディフェンスバック松本選手」そして同じく日大V奪還時の攻守ラインで出場され、主将をなさっていた「関選手」を中心とした強力な守備陣。こんなエグい連中にどうやって勝つの！？
しかしまあビビってばっかりも居られないので、例によって「相手はタマにしか練習していないマトモな社会人。メチャクチャ弱いハズ！」と自己暗示をかけ気合満タンで横浜スタジアムに入場です。もし勝てばとうとう１部リーガーになれるのです。河川敷から大学３部で１勝も出来ず、社会人で２部に所属、あと数時間もすれば自分は１部リーガーなんだ！と思えば身体の芯から熱いモノが込み上げてきます。
ゲームが始まり、ショートヤード用の「パワーアイフォーメーション」でブロック専門のランニングバック（RB）としてフルバック（FB）とハーフバック（HB）に１００キロ超級のラインマンを背番号そのままで配置し、僕がテールバック（TB）で走りまくる「３００kgバックス」でドンドンとゲインを奪います。
僕は２０数回のキャリーで３度のタッチダウンをしたのですが、２度のファンブルロストを犯しました。ハドルで７０番のイヤミな先輩らにぶん殴られたのを思い出します。
ペガサス軍団は人数が少なく、ゲーム中に動けなくなるような打撲やねん挫をしたらマトモな交代選手が居ないので１人少ない１０人でゲーム再開という選択をする場合もありました。
ある場面でペガサス守備の先輩が１人倒れました。大事では無かったのですが一旦ベンチに下がると言うのでやむを得ず僕が少し遅れたタイミングでフィールドに入った所、両軍の作戦タイムは既に終了しており自分がどのポジションに付くのかすらわからない状態で敵軍のクウォーターバック濱部選手はもうすぐプレーを開始しそうです。そして空いたポジションは左のコーナーバックです。エンドゾーンを背負って守備の作戦やカバーも何も知らされない状態でプレーが始まっちゃいました。目敏い濱部のヤローはしっかり僕の下手さ加減を見抜き、僕の後ろのエンドゾーン内を狙ってボールを投げてきました。当然軽くぶち抜かれてしまったのですが、たまたまボールも悪く、レシーバーはボールに触る事すら無くプレー終了。運が良すぎです。
先制点は入れたもののスグに逆転され、前半は７−１０でリードされて折り返し。４Qに入っても１４−２３と良い勝負になっています。そしてペガサス軍団がここで７点を入れ２１−２３。しかしその前に僕の蹴ったフィールドゴールが外れてしまったのです。入っていれば２４−２３で逆転勝ちしていたのに・・・。結局ゲームはコレがファイナルスコア。僕の２ファンブルロストとFG外しで入替戦は負けてしまいました。来季もまた２部リーガーです。世の中トントン拍子には中々いきません。
この敗戦で吹っ切れたのか多くの先輩が引退や退団で居なくなりました。「少数精鋭」と言われた三武ペガサスはこの年で事実上の終焉となってしまいました。
そして僕も二度とキックを蹴らない、蹴れますと人に言わない。と自分に誓いました。
この敗戦は僕のフットボール人生を大きく変えてしまいました。三武ペガサス球団で１部リーグに昇格し、人数も増え、メキメキ強くなり大企業のチームをバタバタと倒し日本一になる。という目標が崩壊したのです。辞めずに残ったメンツも半分はザコです。そんなザコだけで来季からどうするのか！？
次回は三武ペガサス３年目突入です。
